表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/550

王都の新年祭(衣服合わせ)

 独りで行動するなら、移動に時間をかける必要など無い。

 俺は魔法で王都まで1日かけずに移動した。王都には貴族専用の屋敷があるので、そこの一室を借りる事になっている。


 飛んで移動すれば距離の短縮になるし、飛ぶという事は高速移動する事である。飛行機だって時速100㎞なんて鈍足で飛行状態を維持できないので当たり前の、物理法則に従った話なのだ。

 魔法とは物理法則をいかにうまく騙すかという技法だと思うけど、同時にどれだけうまく物理不足を活用するかという技法でもある。


 この点は魔法チートと言うより現代知識チートに相当する。

 同じレベルの魔法使いがいたとしても、俺が負ける事はまず無い。





 ヨカワヤが15日かけて移動する距離を10倍以上の速さで踏破した。

 その事を知ったヨカワヤはこっちをじと目で見ている。


「ずるいですー」

「荷物を運ばないなら、お前らだってもっと早く動けるだろ」

「それはそうですけどー」


 なお、俺の高速飛行は荷物の上限が5㎏ぐらいで、完全に個人用だ。

 普通の人間を抱えて飛ぶことなど出来ないし、もし出来たとしても急激なGによって下手すれば死ぬ。俺は自分を強化して誤魔化しているが、飛行の魔法はいくつもの魔法を組み合わせた高等魔法だ。他人までフォローできるほど余裕を作る事など出来ない。


 訓練すれば克服できると思う。

 が、そこまでするメリットを、俺は今のところ感じていない。



「お似合いデスヨー」

「うわ。その棒読み口調。不敬罪でしょっ引きたい」


 俺がヨカワヤの所を訪れたのは、衣服の調達だ。

 貴族用の、見栄えのいい服が手持ちに無いのでヨカワヤに用意させたのだ。金貨2枚とかなりのお値段だが、絹の衣服だったので相応の出費である。


「東の果て、砂漠を超えた先の商品なんですよー」


 どうやらこの世界にもシルクロードがあったらしい。

 ただし、今はそんな時代じゃなかった気もするけど。地球じゃないから気にする程でもないのか?


「珍しい物をいっぱい扱ってますけどー、私達の所には還元されませんからー」

「そりゃ、金を出している奴(パトロン)優先だろ。俺もその話に混ざりたいなー」

「混ざりたいですねー」


 俺とヨカワヤは揃って項垂れた。

 だってなぁ、言ってて無理だと分かるし。


 正直に言えば、シルクロード交易は絶対に一枚噛ませろと言いたい内容だった。

 だが、悲しい事に俺はまだ零細村長な男爵である。魔法を除いて噛み込める要素は無い。そして大貴族の犬になる気は無いので無理と言う事になる。


 今はまだ雌伏の時である。

 何もかもが思うとおりに行かないのは普通なのだし、いつかを信じて牙と爪を砥ぐのが今やるべき事である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ