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巨大生物(末)

 巨大イソギンチャクの欠片をグラメ村に持って帰った俺は、欠片を海水に浸けて培養していろいろと試してみる事にした。


 この欠片、本体から切り離したというのに、なんとまだ生きていた。

 よってグラメ村で再生させてみようと思ったわけだ。



 口が無くなったからだろう、体組織が変形して新しい口を作り上げた。

 最終的には触手も生えだし、ミニマムサイズで生き返った。


 その間、たった4日。

 プラナリアか、コイツは。



 もっとも、こういった生態は動物なら珍しい方に入るが、植物ならごく当たり前の反応である。植物も茎を根から切り離せば茎の節目から新しい根を生やす。

 それと同じと思えば不思議でもない。


 動物的な行動を取っていたので動物だと思うのが間違いなのだ。海洋生物だが、コイツは食虫植物の仲間なんだろう。

 あれらと同じく、条件反射の様なもので動いているだけなのだろう。





「へー。珍し生き物ですねー。餌は何でしょーかねー?」

「魚だけじゃなく、海藻類も食べてたよ。わりと雑食?」

「おおー。それだけ飼いやすいなら売れるかもしれないですねー」


 この再生イソギンチャクだが、餌が無ければ何事もなく、餌があれば体を大きくする性質があった。

 最初はブルーギルを与えていたのだが、すぐにブラックバスも食べれるほど大きくなり、これ以上育てるのも問題かなと餌をしばらく与えなくても死ぬことが無く、また餌を与えれば食べて大きくなるというサイクルを繰り返していた。


 なんとなくまた分割して乾燥させてみたらさすがに死ぬらしく、カラカラに乾かした後なら再び海水に浸けても再生しなかった。

 あと、長時間淡水につけても死ぬ。海水に適応したため、淡水は毒として作用するようだ。体色は元は赤だが、淡水に浸けると徐々に茶色に変わり、死んでしまうようだ。



 無茶苦茶簡単に育てることができるが、殺すことも難しくない。

 飼うのは確かに簡単だが、コイツが本当に売れるかどうかは知らんぞ? 少なくとも、俺は金を出してまで飼おうとは思わないけど。


「いえいえー。希少な生き物って言うだけで売れますよー。

 それに、これ、食べれるんですよねー? だったら保存食代わりに持っておくのもいいんじゃないでしょうかねー?

 餌は草でも与えておけばいいわけですしー」

「……その発想は無かったなー」


 この再生イソギンチャク、触手の部分には毒がある。

 しかし他の部位は無毒である。

 そして、一応だが、食える。干してしまえば、するめのように食べられる。


 味は微妙。

 保存食と言うよりも非常食である。カロリーがあるかどうかも分からないのも問題だが、俺としては食用にする気はない。



「まーまー、任せてくださいよー。売ってみせますよー」


 難色を示す俺だが、実際のところ、売る事にデメリットは無い。

 また小さくなるが、半分をヨカワヤに売る事にした。





 その後、このイソギンチャクは大いに売れたようだ。

 はじめて買われたのが親になり、大きくして子(?)を売る、譲る事を楽しむ遊びになった。


 何が楽しいのか分からないが、新しい物好きが頑張って広めたらしい。

 いいけどね、話を聞いた時、ちょっと微妙な顔をしちゃったよ。

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