森の探索
森の浅い所だけだが、人手を使って探索するようになった。これまでは人手不足で山菜取りや山狩りは手を付けていなかった訳だが、農民の手がある程度空いたので何人か使っているのだ。
有用な資源を探すためだが、これがなかなか難しい。現代の日本人ほど食の知識を持たずリスクを把握していないため、わりとなんでも口にする。俺が魔法で確認するまで口にするなと言っておいたのだが、チャレンジャー、跳ねっかえりはどこにでもいるのだ。自爆するものが多発した。
銀杏の事で口にする物しない物を判断する材料を持っていると考えてしまったため、そのギャップを埋めるまでにちょっと被害が出た。むしろ銀杏の事で味を占めた奴がいた形である。
腹痛程度なら良かったけど、中には死にかける奴もいた。害獣対策にと俺が周囲に気を配っていなかったら本当に死んでいた可能性がある。
これで学んでくれればいいんだけど。たまーに失敗をバネにさらに突進する馬鹿もいるからな。
その時は、見捨てよう。手のかかりすぎる馬鹿はいらん。
そして俺自身、そうやって跳ねっかえりの相手をする羽目になっても、森に行かせる人数を減らすことはあまり考えていない。
もともと山は資源の宝庫だ。伐採で材木を手にし、そのついでにオマケを手にする事もあった。
今回の探索で黒い木々の森から色のある場所を探し、見つける事で「お宝」を得る。その試みが上手くいっているのだ。止めたいと思えないぐらい、プラス収支なのだ。
まず、山芋が見つかった。
元々山芋は冬が旬の食材で、これまで俺達があまり手を付けていなかった土の中にある食べ物だ。
摩り下ろして生で食べるのが一般的で、こちらの世界でも魚醤と混ぜて食べると美味しいと言ってもらえた。ご飯にかけるのではなく肉の上にかけるソース扱いだったが、受け入れられるだけマシだろう。
多少栄養価が落ちるが、のっぺい汁の様に鍋に入れて食べるのもいい。
そして、蕎麦。
蕎麦は救荒作物の一つとして挙げられ、過酷な環境でもわりと育つ。枯れた森の中でもひっそりと育っており、見付かった蕎麦を見た時は思わず万歳をしてしまった。
問題は、食用にできるほど収穫できるかどうか。
蕎麦はやせた土地でも簡単に育つけど、収穫量がかなり少ない。使う土地、脱穀する手間を考えると収穫量が足りない。
冬でも育つしすぐに実が付くから大規模な作付は行わないとして、少量を、絶やさないように育てるだけだな。
俺にとっての大きな発見は以上だが、細かい所では食べられそうな他の木の実も見つかっている。
結局蜂の巣は見つかっていないが、何かと収入の多い探索だった。
もっと早くから動ければよかったんだけど……。
もっと人手が欲しい。




