農力強化は基本
領主業をしていると金銭感覚が狂う件について。
冗談は横に置き、経済感覚が一般人離れしている自覚が出てきた。
と言うのも、個人レベルの買い物をしていないのが原因だ。
グラメ村には商店など無い。
人口の少ない村ではよくある事だが、村長や領主が物資の流通を一手に担い、村民に分配する手法が有効だからだ。
ヨカワヤの事もあるし、俺の村はまだマシな方かもしれない。中には商人が来ない為に完全に自給自足を強いられる農村も存在する。というか、王国全体で見れば3割4割はそんな村ばかりではないだろうか? たぶん、かなりの村がそんな感じ。
そんな村運営だから住居も衣服も食糧も、全部俺が用意している。
俺に逆らっては生きていけない状態だ。
一応程度に給金は支給しているし、それを使ってヨカワヤから物を買う事を許可しているが、実際の所、そんなに選択肢は多くない。酒を買っている奴を見かけるぐらいだ。
この様な状況では経済感覚が狂うのは当たり前だし、それは俺だけではなく村民全員に言える問題だ。
意識を改善しないと、不味いかもしれない。
今のところ、村で行われるすべての活動に無駄は無い。
農民や漁師たちの食糧供給が第一次産業として経済の基盤となり、女性陣を使って行う製造業、製粉関係が第二次産業にあたる。
第三次産業、商業とサービス業だが、こちらはヨカワヤが一手に担い、強いて村で関係がありそうなのを挙げるとすれば風呂の湯を準備する俺ぐらいだろう。
無駄は無いが、足りないものが多い。
村で商売を行う者がいないというのがまず問題で、それを俺が阻害している形に見える。
ただ、そもそも俺が物資供給を一手に担っているのは商人が来る魅力がグラメ村に無いからで。商人の必要経費とグラメ村の売却用特産物が釣り合っていない事が問題なのだ。
これを解消しようと思えば、二つの問題を解決することが絶対条件になる。
自給率100%の食糧生産。
販売可能な商品の生産。
食糧生産量アップはどう考えても必要だ。
経営を成り立たせるには出費を減らさないといけなので、食糧という「ありふれたもの」は買ってまで欲しい物だと認識してはいけない。
しかしこの世界でそれはかなり難しい問題なのが玉に瑕。
国を見ても自給率が100%に達していないので、足りない食糧を輸出して欲しいと頼まれるのは目に見えている。
……あれ?
もしかして、小麦や大麦を量産できれば、それだけで経済が回るのか?
自給率100%以上の食糧生産をして村の備蓄分を確保するけど、更に生産力があって食糧を売り物にできれば。それだけで商人が定期的に来る可能性が有る?
そうだな、俺達は食糧がいくらあっても足りない国の人間だった。
しばらくは食糧生産を強化するだけで構わないのかもしれない。農地からあぶれた人間が商人になるまで、農法を発展させればいいだけなのか?
仮の物ではあるけど、道筋は見えた。
だったら開拓だ! 農地を増やすぞ!!




