大越冬(ダイエット)
天高く、女肥える秋。
さすがに口に出すほど愚かではないが、彼女らは酒食に耽った代価をきっちりと支払っているようだった。
ほとんど運動せず筋力の無い人間が美味しいからとデザートを短期間でドカ食いすれば、太るのは当たり前である。ついでに肌が荒れるのも。
俺謹製の鏡を前に、嫁さんたちは力なく崩れ落ちた。
ティラミスは高カロリーである。
生クリームにチーズ、そして砂糖。高脂質に高蛋白、そして多量の糖分。まさに太るためのデザートである。
乳製品全般に言える事だが、あれはカロリーを考えればあまり口にしていいものではない。
嫁さんらはまだ若いが、それでも暴食に耐えうる体をしていない。世の中にはどれだけ食べても太らない稀有な人もいる――俺もその一人だったりする――しかし、嫁さんらは普通の娘さんである。食べたら太る。その理から逃れることはできない。
彼女らには節食と運動が必要であった。ついでにスキンケア。
人間が1日に摂取していいカロリーは時代によってコロコロ変わるが、まぁ彼女らの場合は2000kcal未満が妥当じゃないかと思う。
普段食べているのはパンとスープ。酒はあまり飲ませていないし、彼女らもそれを好まない。デザート類はたまに俺が作るだけで普段はあまり口にできない。材料の都合があるからね。果物はたまにしか出ないし、計算しなくていいかな?
摂取カロリーは1500kcalって所だと思う。
今回はたまたまストックの多めにあった生クリームとチーズを使い切ったり、砂糖が思ったよりも目減りするほど食べていたからな。一過性の過食でしかない。
適当計算だが、あのティラミス騒動では一人当たり3000kcalは食べていたと思うよ。一食で。
食生活は見直さなくてもいいだろう。
これまで通りを維持すれば問題ない。
ならば付いてしまったお肉は運動によって消費されるべきだろう。
筋力が低く、運動しない彼女らに出来る事は散歩ぐらいだ。筋トレなどはまだ無理だろう。
水泳などに比べあまりカロリーを消費しないが、それでもやらないよりはマシだろう。1日1時間以上の散歩を義務化した。
そして俺は大越冬必須アイテム、体重計の作成に着手することにした。
体重計の仕組みはバネ式の物が一般的だが、今回は水圧式でいく。
仕組みは簡単で、人が上に乗るとその重みで温度計のようなメーターが上下する、それだけの物である。
目盛りについては適当である。俺のなんとなくで1㎏を定め、それに合わせて基準重量を設定。あとは同じ重さの塊を使って目盛りに~~㎏と書き込むだけである。
「そんな……そんなものには乗れません!!」
「問答、無用!! ユリア、55㎏と」
「いやぁーーっ!!」
簡単な仕組みではあるが、俺の作った水圧式の体重計は正確さに欠ける。細かいバランス調整などをしていないのでしょうがない。
そこは要調整かなと思うのだが、そんな事よりも体重測定に抵抗する嫁さんが数人出たので大変だった。
ユリアを筆頭に、体重を記録に残されると分かると、全力で抵抗の意を示したのだ。
何がそこまで嫌なのかは知らないが、これは健康維持のためには必要な行為である。嫌だと言おうが喚こうが、無理矢理測定して数字を記録に残す。
ついでに身長も測り、健康診断のデータとして残しておくことにした。
マジ泣きだったが気にしない。これも嫁さんのためなのである。
それにしても、このままだと体重が減ったか増えたかを確認する以上の意味が無いな。
どうせだから領民全員のデータを収集するか。




