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オランダ的光景

 収穫祭が終わり、商人の行商も終わり、季節は秋から冬に変わる。


 行商人ヨカワヤとの契約は更新するけど、レートを現在の3倍支払から僅かに落とし、2.7倍に変えてもらった。

 次に来るのは春になってからで、冬の間は来ないと明言される。

 この村のあたりは当たり前のように雪が降る地方で、そうなると馬車での移動ができなくなるのだ。荷車を牽くロバに与える草が枯れているから自前で用意しないといけないし、そもそも寒いので暖を取るための薪なども普段より多く持ち歩かないといけない。そうなると僻地であるグラメ村と王都を往復するだけでかなりの出費となり、少なくとも俺はその分の割増料金――おそらく3倍ではなく10倍と言われるだろう――を払いたくないのでコスパが現実的ではない。


 事前にそれを分かっていたから食糧と薪木を1年間戦える分量、用意した。

 特に木材の方は半年間一回も使わず貯め込んだため、売ってほしいとまで言われる始末だ。売らなかったけど。





 小麦を粉に挽く製粉機の為の風車を新たに作った。

 ウィンドミルという製粉用の風車は10世紀ぐらいから使われていたというが、灌漑に使われる風車であれば紀元前から使われていたとも言う。王国にも風車はあるが、製粉に使う機械機構は俺独自の物だ。……たいして複雑じゃないから、自慢できるほどでもないが。ミニ○駆の四輪駆動を見たことがある人間なら思いつく程度の物なんだよ……。


 機械式の製粉機があれば、人手は最低限で済む。

 同じ理由で洗濯用の風車を要求されたりと思わぬ仕事も発生したが、風車の新規製作は6基ですんだ。井戸からの水も自動で汲んだりと、かなり自動化した自信作だ。

 洗濯用の機械についてだが、これは水桶の中で櫂をぐるぐる回すだけの簡単なもので、大雑把に汚れを落とすだけの代物だ。ただそれだけでも労力がずいぶん減るらしく、その後の簡単なすすぎだけでよくなり、洗濯にかかる時間が半分未満になったと喜んでいる。

 面倒だったのが回転エネルギーのオンオフだ。水桶で櫂が常に回転し続けては衣類の出し入れが危険になるからと、動力を伝達するギアを上下させることで回転をオフできるようにしたのだが。オフする時にギヤへ大きな負担がかかり、月に一度はギアを交換しないといけない構造になってしまった。



 そうやって風車をいくつも作り生活に役立てていると、やってみたい事が増える。


 基本、俺が作った風車には木製のカバーが付いている。木製にしたのは何かあった時に解体しやすいから。メンテナンス性を重視した。

 しかし、風車の数があると別の考えが頭の中に思い浮かぶ。


 オランダだ。


 風車の国で有名なオランダのように、レンガで作った風車塔を作りたい。

 レンガを焼く素焼き窯すら無いのが現状だが、レンガは作れないと困る物だし、いずれは冶金(やきん)に手を出す予定もある。順番に、簡単な窯や炉を作っていくのは大事だろう。

 時間はかかるが、レンガを作って風車を強化していく計画を立てよう。



 あとはチューリップもあればパーフェクトなんだけど、残念ながらこのあたりにチューリップは無い。王都の方にはあったが今まで気にした事も無かった。

 チューリップの球根は食用にもなったはずだから、今度買い集めても面白いかもしれない。……実用性が薄い趣味的行為だから、やるとしたら数年後、労力が余り気味になってきた時の公共事業か? 検討だけしておこう。


 そういえば、オランダでは丸太の加工にも風車を使っていると聞いた気がするけど……駄目だ、全く分からん。想像が出来ない。

 木工関連の知識が足りないのも利用方法を思いつかない理由だな。このあたりはこちらで要勉強といったところだ。



 魔法があればかなりの事が解決するけど、魔法で解決できない事もあるし、俺がいない時のことも考える必要がある。

 これは一朝一夕で解決する問題でもないし、そのうち何とかしよう、その程度の心構えだけどな。

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