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無茶振り

 うん。

 海を往く船のアイディアなんて出てこない。


 じゃあさ。

 空を往く船の話でもしてみよう。



 もちろん、ファンタジー世界でおなじみの飛空艇ではない。

 ヒンデンブルグ号で有名な飛行船の方だ。

 そっちの方がまだ現実味があるからな。






 飛行船の前に熱気球の説明でもしておこう。



 焚き火の上に袋を置き、袋に熱した空気を集める。

 熱くなった空気は冷たい空気よりも軽いので浮力が発生し、宙に浮く訳だ。


 熱くした空気を集める袋の重さと集めた空気の重さが、同じ体積の周囲の空気よりも軽ければ浮く。

 つまり、軽い袋を作る技術があれば、もしくは空気をかなり熱くしてとても軽くなる様にすればいいわけだな。



 実演付きで説明すると、親方たちはとても強い興味を示した。

 だが、この話の問題点にはすぐに気が付く。


「物を燃やし続けるってのは、無理が無いか?

 さっきの説明じゃ袋だけだったが、実際には物を燃やす台や燃料、燃やす役の人間、そいつらを積む籠が要るよな。

 熱くなった、軽くなった空気って奴はそんなに大量に作れるのか?」


 親方、正解。


 袋だけなら話は簡単だが、人間が乗る「船」を作ろうと思うと、気球の部分はかなり大きく作らないといけない。

 これは飛行船でも同じ話である。


「それに、浮かんだだけじゃそこまで意味は無いだろ。(たけ)ェ塔の一つでも経てた方が早いし使い勝手が良いじゃねぇか。

 ただ浮かぶだけのモンに何の意味があるっていうんだ?」


 うん。

 プロペラなどの推進器について知らなきゃそうなるよな。

 まぁ、熱気球は上の袋に穴を開けて、それを推進剤の替わりにするんだけど。そこはまだ説明しなくてもいいか。


「熱気球なら持ち運べるのが利点だね。

 例えばだけど、戦争で上から兵士の動きを見ることができればどれだけの優位を保てると思う? 奇襲の伏兵なんかもすぐに分かるよね。何か仕掛けがあっても、空からの目をくらませるのは難しいし。使い方は色々とあるよ。船の上から使えば、遠くを見るのに役立つかもね。

 移動については下から紐なんかで引っ張るっていう手もある。問題を解決する方法はいくらでも思いつくさ」


 ある程度説明して見せると、親方たちは黙り込み、長考に入った。


 俺が提示したのはほんの少し、きっかけレベルの話でしかない。

 ここから先は本職にやらせるべき内容で、素人が口を出すものではない。



 燃料については液化ガスやコークスみたいな高効率のものが必要になる。

 気球に使う素材も目の粗い布じゃあ使えない。

 熱気球ですら、まだ技術レベルが追い付かない話なのだが。


「よし! まずは小さいのから作ってみるぞ! 後の事は後で考えればいい!!」


 こうやって挑み、試し、失敗を繰り返しながらも前に進めば辿り着くって話でもあるんだよね。

 技術ってのは何を理由に進歩するか分からない分野でもあるし。

 俺はレオナルド・ダ・ヴィンチみたいにネタレベルのアイディアを出すだけでいいのさ。

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