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船大工たち

 船大工の確保は終わり、一月後にはグラメ村まで来てもらえる事になった。

 そうなると造船所の建設と資材や建材の確保が次の目標だ。


 造船所だが、まずは適当な大きさの建物、具体的には学校の体育館ぐらいの建物を海辺に建てておくだけである。

 造船所と言われてどんなものが必要になるか分からないが、木工用の工具の他に高所作業用の足場を作っておくぐらいしか思いつかない。


 他に必要な物は船大工が来てから揃えた方が無駄が少なくていいだろう。





「またキャラック船なのじゃな……」


 やってきた船大工は30代後半の男たちが20人ほど。

 大きな船を作る彼らはチームで動くので、これでも少ない方である。



 そんな彼らのテンションは総じて低い。

 ぶっちゃけてしまえば、何隻も何隻も作った船をまた作るのかという繰り返しに飽きてしまったからだ。


 普通、仕事であれば同じことの繰り返しが当たり前で飽きなど来ないものだが、彼らの場合は新しい物に挑戦し、試行錯誤するまでを楽しむタイプの技術者だったようだ。

 ネタ的だが、○ンダムのような試作機を作るのはいいけど○Mのような量産機を作るのに向いていない連中という事だな。



 俺好みの連中であるが、今のところはそこまで変な船を作らせる気はない。基本のキャラック船を造ってから後の事を考える予定だ。

 ちなみに工期は2ヶ月と言われたので、夏ごろに完成する。


 船3隻を作るのに2ヶ月って、かなり凄い気がするんだが。


「ふん。この程度の仕事に手間取るようでは素人よ」


 本当に普通なのかねぇ?

 ま、いいや。早いに越したことはないし。



 俺がそんな事を考えていると、船大工の代表、親方が俺にずずいと迫ってきた。


「そんな事より、もっと面白い船を知らんか? 同じ事ばかりやっているより、もっと新しい事に挑む方が実になると思わんか?

 小僧は何か面白い事をいろいろ知っていると聞いているが、他に何かないか?」


 親方はキャラック船の基本情報を出したのが俺という話を聞いているようで、それがここに来る理由となったようだ。

 と言うか、爺さんに無理を言ってここに来たらしい。


 って言う事は、こいつらってそれだけの扱いが許される連中って事なんだろうな。

 爺さん、能力のある奴なら特別扱いしたがるしな。



 それにしても、新しい船の構想か。

 俺の船関係の引き出しはそこまで多くない。


 ぱっと思いつくのは鋼鉄艦だけど、さすがにそれは足りない物が多すぎるし。

 ダヴィンチの潜水艦はネタでしかない。


 双胴船とか、無難な物にするか?

 それとも大砲でも乗せてみるか? って、爆薬が無いか。


 魔法使いがいるなら魔法使いを乗せた方が早いしなぁ。

 ああ、ネタが無い。

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