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祭りだ!(前夜)

 祭りの名目は収穫祭だ。

 つまり、祭りの前に小麦に収穫をする事になる。


 たぶん、豊作なんだと思う。





 小麦を収穫するというのは、小麦を刈り取るだけの話じゃない。

 その後の保管する状態まで持って行って、ようやく収穫を終えるのである。



 小麦の収穫方法はこうだ。


 まず、刈り取る前の数日間は水をやらないようにする。あんまり水を与えると、穂のまま発芽してしまう。雨が降った時も要注意だ。

 10日くらい水を与えずにおいてから刈り取る。

 刈り取った穂を10日ほど陰干しする。

 乾燥した穂を風力式脱穀機で脱穀する。

 (ふるい)唐箕(とうみ)も使い籾殻(もみがら)を取り除く。


 風力式脱穀機は円筒に針を付け、あとは風の力でそれを回すだけの簡単な物だ。

 水を組み上げる風車を作ってあったので、それにちょっと余分な仕事をさせた形だ。


 唐箕とは、風で籾殻などを吹き飛ばし、米を選別するための道具だ。小麦でも使えるだろうと用意してみた。

 四角い箱の上に投入口をつけ、箱の横に風を送るための風車と風車を回すハンドルを付ける。で、風車の反対側と下に出口を作り、重さの違いで出て来るところを分けるという仕組みだ。



 この世界のパンが不味いのは、こういった収穫後の処理がいい加減だからだ。

 俺は江戸・明治時代の道具を持ち込んでこれら作業の精度を向上させ、時間を短縮する事に成功した、と思う。

 脱穀機や唐箕を使わないやり方を知らないし、普通にやったらどの程度時間がかかるか分からないのだ。

 村民も農家出身者を排除しているので、誰も比較対象を知らない。


「いえいえー。これは売れますよー」


 ヨカワヤは知っているようなので聞いてみたが、ここでやっている脱穀と他の脱穀を比べると、数倍の作業効率だと太鼓判を押していた。

 しかも小麦が綺麗に脱穀されているので質の方も高い評価を得た。


「なのでー、これ、ウチで扱わせてほしいですー」


 脱穀機の円筒部分だけを売りに出し、回す方は手回しでどうにかするらしい。それだけでも倍以上の早さで作業が進むとヨカワヤは語る。

 情報の対価として売れ行き次第では応相談になるが、再来月には金貨5枚が手に入る予定だ。

 かなり高い情報料だが、大丈夫なのか? 今から作って元が取れるのか?


「脱穀って、大きい所だと一月はかかりますからー。まだ間に合うし売れますよー」


 ホクホク顔でヨカワヤは胸を張る。

 そして思い出したように付け加えた。


「あとー、私も収穫祭に参加していいですかー?」

「許可!」

「え? 言ってみるものですねー。わーい」 


 何とヨカワヤ、女の身でありながら収穫祭の競技に参加したいと言う。無論、俺は許可を出した。参加人数が多いほど祭りは盛り上がるからな。


 俺はヨカワヤに参加競技の説明をしていく。

 リバーシも売りに出したいと言い出し、そのほかの将棋やチェスにも興味を示した。独占する理由もないし、ヨカワヤ経由でこれらも売りに出すことに。

 注目? すでに魔法チートで目立っているから今更だ。


 俺は最後に「YUUSYA」のアスレチックコースを披露する。


「さあ、頑張れ!」

「殺す気ですかーー!?」


 なぜかヨカワヤが絶叫した。

 解せぬ、とは言えない。

 何も知らずに挑めと言われたら、俺でも同じセリフを言う。

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