海岸線の狩猟民族
最初にやるのは家作りだ。寝床の確保が最初の仕事になる。
普通なら大仕事なんだけど、魔法で石の壁を5枚作って、1枚を天井に、残り4枚を壁にして、はい、完成。
俺の魔法建築は適当だから、壁や床に板を張って断熱性を確保しないと住み心地はあんまり良くない。雨と風が防げるだけで十分ってのは、何かが違うと思うし。
ま、当座を凌ぐための手段ですから。この程度でもいいだろう。
人数分の家(?)を確保したら漁と猟に出てもらう。
船は無いけど、魚ぐらい獲れるだろう。男衆の半分を漁に回す。
猟は俺がやるので、俺が安全を確保する中で残りの男には木材の確保をやらせる。伐採だな。
しばらくはこれだけでいい。
それ以外の仕事は……男どもの働きの評価、娼婦を買う優先順位を決めるぐらいか?
数少ない女に無理をさせるわけにもいかないし。
定休日はどうするかな?
魚を獲る仕掛けはいたって簡単だ。
干潮時に砂浜になる場所で、囲いを作る。波で壊れない、頑丈な奴を。たったそれだけだ。
仕掛けは満潮時に海に沈む。干潮になると再び姿を見せる。
で。干潮になった時に、仕掛けの中には魚がたくさんいるわけだ。1日1回だけだが、大した労力も必要としない仕掛けなので気軽にできる。
俺の狩猟も好調だ。
適当に一匹狩れば、血抜きの最中にどんどん獲物が寄ってくる。賢いはずの魔境の獣だが、俺を学習するまでは入れ食いなのだ。初日だけで体長2m級の獣が40匹以上と、すぐに喰いきれないほどの肉が手に入った。
食糧節約の為にも無駄にする気は無く、毛皮を剥いだら地下の氷室に保管する。
氷室?
適当に穴を掘って、氷の魔法で冷やしただけの代物です。地下で氷魔法を使えば、冷気は1月以上は保てるのですよ。
獲物が大量に手に入ったので、急遽作りました。
あとは塩作りに手を出している。
塩田はまだ作らない。効率は悪いけど、もっと簡単な方法がいくつかあるのだ。
まず、海水を砂浜より陸地の方に引っ張る水路を作る。
水路の先を壁で囲い、風などの影響を無くす。
水路に大きな布を半分浸す。
しばらくすると、布の上の方、海水に浸していない部分に塩ができるのだ。
これは毛細管現象を利用した塩作りで、釜などで煮炊きしない、非常に手軽な方法だ。
単位時間当たりの効率は悪いけど初期投資が安く済むので、少人数の今なら塩田を作るよりも便利だと思う。
塩田を作る場合はね、販路を作ってからじゃないと意味が無い。地産地消で完結するならあんまり意味は無いんだ。
そしてその販路は、今の俺に無いものだ。そもそも塩の販売は許可制で、その許可が出ていない以上はやる意味が薄い。
さて、じゃあ肉と魚を塩漬けにしますかね。保存用に。
え? どこからその塩を用意したかって?
≪純水化≫の魔法で海水から分離させただけですが何か?
 




