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現状確認

 一度、俺の立場を確認する。



 俺は男爵と最下級であるが王国貴族の一員だ。

 嫁に王族を持ち、他国への伝手があり、公爵の爺さんの孫みたいな扱いを受けている。周囲との付き合いはあまり上手くないが、強力な後ろ盾があるのでちょっとの無理は通せる程度の権力がある。

 たぶん、死ぬまでに伯爵ぐらいにはなるだろう。あんまり嬉しくない事に。


 期待されている役割は、主に魔法戦闘能力を活かした戦争参加。

 最近になって製鉄関係も注目を受けている。

 その他に関してはまだ大きく注目されていないが、たまに俺が持ち込む謎知識――転生前の知識チート――も国が手放したくないと思われている一因だろう。昔持ち込んだ製紙技術に関しても、今となっては他国で諜報活動を行い盗み出した物とは思われていないだろう。たぶん、正解ではなくとも正解に近い推測がされている。


 俺自身は国に仕える身なので、国からの要請にはちゃんと従っている。稀に無茶な要求をするが、駄目だと言われたことはそんなにしていない。食い物が絡まなければ完全に命令に従っているはずだ。

 俺に対して美食が有効という考えが広まりつつあり、美味い物さえ与えれば何かしらのリターンがあるという話をされているらしい。



 俺は領主貴族として辺境の開拓を任されている。

 新しく村を作るのに必要な申請など特になく、ただ作る計画書さえ提出すれば話は通る。シュクレ村を作るときも、それ以前に新しい村をと考えていたのもそれが俺の仕事だからだ。


 そして俺の仕事である開拓事業とは「未開の地に新しく村を作る事」であり、王国にいる他領主の土地でなければ構わないという話。

 他の国? いざってときは物理的魔法的交渉術で切り抜けるように言われているよ。


 この理屈を使えば他の大陸を植民地的に支配することも違法じゃないんだけど。俺は中世や近代のスペイン人ではないのでそんな事はしない。

 新大陸に興味を示したことでちょっと疑われているけど、本当に作物が欲しかっただけだからな。





 美食(ごほうび)の為に新大陸。

 それは現状を考えるとメリットとデメリットを考えると、国としては安易に頷けない話だな。

 そして将来的にも難しい。俺を海に縛り付けておくのはメリットよりもデメリットが大きい。いや、デメリットと言うよりリスクって言い方もあるかね。本業を休ませる上に長期にわたって戦場で力を貸せなくなるだけならともかく、失う可能性もあるんだし。

 国としては遠ざけたいと考えるのが当たり前だ。

 それこそ国家存亡の危機を救うための一手を担わない限り、要求できないご褒美だろう。



 では、そんな俺が新大陸に行く計画に参加するには?

 というか、自分で計画を立ち上げて実行するには?


 船が要るな。自前の船が。その日帰りの漁船とは全く違う、数ヶ月の旅を可能にする船が。

 造船に関しては完全に素人で操船や航海に詳しくない俺が海に挑むための、基盤が必要だ。

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