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移民開始

 ヤム芋は収穫まで4~6ヶ月かかるらしい。

 収穫はまだまだ先の話である。


 そして季節は夏へと移る。

 サヴ達がシュクレ村へ旅立つ日がやってきた。





 総勢82人。

 そんなに人数が多くないので民族大移動とは言えないし俺がグラメ村を作った時の100人にも満たない数だが、彼ら全員が荷物を抱え進むのは不可能である。

 家財のほとんどは置いて行くし、あとで必要な物を運ぶ算段になっている。それでもすぐに必要な二月分の食糧などを運ぼうと思えば多くの荷車を引かせる羽目になる。それでは移動速度が出せないし、そもそも荷車の数が足りない。いや、荷車は作ろうと思えば用意できるけど、そこまでさせる気にならない。

 それに、護衛に武装した武官が付いて行くとはいえ、あまり数が多いと何かが襲って来た時に守り切れないという事情もある。



 だから2チームに別けて移動する。


 サヴをリーダーに据えるので、サヴは移民の第1陣に出発する。先行し、生活基盤を作るわけだな。

 何かと便利な魔法使いが1人いるといないとでは生活レベルが全然違うという事もあり、リーダーとは関係なく行かせる必要があるのだが。



 連れて行くのは主に農民。

 畑が仮設置状態なので、まともな畑にしつつ、あんまり世話をしてない作物をどうにか収穫してください。

 漁師連中も少しは連れて行く。海まではちょっと距離があるのでそっちはパス。湖があるからそっちで頑張ってもらう事になる。海と違ってあんまり獲りすぎると資源が枯渇するから気を付けろよー。



 家畜は鶏ぐらいしか連れて行かない。

 羊や水牛には北の環境は厳しすぎるだろう。

 猪やだって餌になるドングリを落とす木が生えていない場所に行きたがらない。

 トナカイは向こうが原産地なんだから、連れて行くのではなく、むしろ現地調達してこちらに送る側になってもらいたい。


 肉類は狩猟でどうにかしてくださいと言う事だ。

 肉が食卓に上がるのは珍しくなるだろうけど、その代わりに湖で色々と獲れるだろうからそれで我慢して欲しい。





 北では、シュクレ村での生活は確実にここより厳しい物になる。

 生活が困窮し領民の不満を抑えきれなくなるかもしれない。蛮族が襲ってくるかもしれない。

 そんな場所に新しい村を作る。


 あの場所に新しい村を作る事が本当に必要な行動なのかも分からない。 

 いや、必要はないだろう。もっと近くに村を作った方がなにかと都合が良いのは間違いない。

 シュクレ村を作るのは、感傷でしかない。



 ただ、そこに意味を持たせられるように努力できる。


 チョウザメの捕獲、温泉の発見、燃えやすい木材の確保、雪国の動物、こことは全く違う環境でしか得られない何か。

 何がどこまで有益かは分からないが、目の届かない場所へと手を伸ばす。


 あとはサヴや部下を信じるしかない。

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