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殺意と復讐

 どうやって殺すのか。

 いつも通りの二酸化炭素を使う殺し方では嫌だ。アレは非殺傷を目的とした魔法。殺す為には使いたくない。二酸化炭素の濃度を10%以上に上げれば殺しにも使えるのだが、それでも嫌だ。

 だから殺し方は、季節に見出そう。





 サヴ達の治療と食料の配布を終え、俺は独りで拠点跡地に向かう。

 夜の闇に姿を消して空から観察すれば、敵は大体200人ぐらいの集団で、トナカイを引き連れた北の蛮族だと分かる。

 拠点はそんな大勢を迎え入れることを想定していない。だから外にテントのようなものを建てて対応している。小さな子供からお年寄りまでいる。


 北の蛮族は南の地、俺たちのいる王国やその他の国々を追われた犯罪者などの子孫と言われている。

 だが、別言語を扱っている事を考えれば古くからの戦争相手、もしくは王国の地に最初にいた原住民のようなものじゃないかと思う。王国の言葉って南の国の言葉に近いものがあるし。

 風を使って声を拾い、相手の会話を聞きとってみるが、やっぱり何を言っているのか全く分からない。これで言葉が通じれば死刑宣告ぐらいやっておこうと思ったのだけど、無駄だね。無言でいいか。



 全員が拠点内に行くことはなさそうで、多少手間がかかるが確実に行こう。

 門の近くに死体を晒したままの仲間たちの姿を見て、俺は殺意を高める。


「≪氷壁(アイスリッジ)≫」


 まずは敵を閉じ込める。

 高さ5mの分厚い氷の壁を作る。まずはこの≪氷壁≫の魔法で敵の脱出を封じた。


 言葉は通じなくとも、俺が姿を見せればなぜこんな事になっているのか分かるだろう。

 そんな思いから俺は門を塞ぐように作った氷壁の上に立ち、明かりを作った。松明とは違う光に周囲が照らされる。周囲の獣を警戒していた連中が俺を見付け、大声を出す。相変わらず何を言っているのか分からないが、仲間を起こしているんだろう。狙い通りだ。

 寝ている間に殺すことはしない。だが、何が起きたのかも分からずに死ね。


「≪凍てつく大地(ニブルヘイム)≫」


 重ねて使う魔法は足元、大地を凍らせる、ただそれだけの魔法。

 全力で使ったので、地面はマイナス100℃になったけど。湖の方に悪影響が出ないように、そこは上手く別の魔法で相殺するのも忘れない。そして仲間たちの死体にも影響を出さない。


 蛮族どもは俺に矢を放ち射殺そうとするが、防御魔法の守りで全て防ぐ。こんな奴らのために、傷の一つでも負ってやるものか。

 死神のように、超越者のように。完璧に勝ち、弔いとする。


 しばらく攻撃し続けていた蛮族だが、徐々にその勢いは弱まっていく。

 凍った大地が放つ冷気が普段以上に体力を削っているからだ。そして、足が地面に張り付けられ動かせず、補給もままならないからだろう。


 お前たちは、そのままそこで死ね。

 俺は氷壁から降りると仲間の死体を回収し、弔いの言葉を捧げる。

 奴らはまだ生きている。自分たちを殺す相手が何を思って殺しに来たのか、これで理解しただろう。



 最後に一瞥してから去ろうと思ったら、氷壁の向こうで土下座する女がいた。

 まだ若い女で、そいつはソリを牽いてきている。そしてそのソリには、乳飲み子がいた。


 女は何かを叫ぶように俺に言っている。やっぱり言葉は通じない。だが、何を言いたのかは分かる。自分はどうなってもいいから、我が子を助けてくれと。大体そんなところだろう。


 その姿に、俺の殺意もしぼむ。

 しぼんだ殺意の代わりに湧き上がった感情のまま、俺は仲間に刺さっている矢を抜き取り、赤子を射殺した(・・・・・・・)。女が何か叫んでいるが、やはり俺には何を言っているのか分からない。口の端が少し持ち上がったのが分かった。


 俺は意識して殺意を再び燃え上がらせ、この場を去る。

 極寒の世界で奴らが息絶えるのは確実で、脱出手段など無い。もう、ここには居たくない。自分が人間以外の化け物になってしまう。



 だってあの時。

 確かに俺は愉悦を感じていたのだから。

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