道路工事のオマケ
しかし、こうやって水路による冷却効果を実感すると、いくつか不思議に思う。
海の上だが、こちらは何故冷却効果が無いのか。
海水も水である以上は冷却効果がある筈なのだが。夏に海の上が涼しいという話を聞いたことは無い。冬の寒さはよく愚痴られるが。
海水そのものは地面や大気と比べれば冷たい。
しかし、その恩恵を感じられないのは何故だろう。
気分の問題かもしれないし、そうじゃないかもしれない。残念ながら、俺にはその理由を考える力が無いようだ。
森の中に作った水路付きの村の模型は、多少改良すれば人が住めるようになる。
ただし、水源の確保は必要だ。
水路の水を確認してみたが、この水は飲用に適していないようなので精々が農業用水としてしか使えない事が判明した。
雑菌の多さがその理由で、井戸水とは比べるのも烏滸がましいほど飲み水に適していないのだ。
外の村ではこういった水も飲み水として使っているんだけど、グラメ村でそれはしたくない。
アフリカとかの特番で見たが、こういった雑菌の多い水を飲むことで病気になりやすくなり、平均寿命が一気に縮むというものだった。実際、腹を下すぐらいはしかねない。泥とかも混じっているからな。
よく漫画やラノベなどで川の水をそのままゴクゴクと飲んでいるシーンがあるが、ああいった事をやると本当にお腹を壊す。
湯冷ましにするのが正解で、出来れば簡単なろ過装置でも作って漉した水を飲むのが安全だ。水の中はたまに寄生虫とかが棲んでいるし、かなり怖い。
まぁ、川から直接水を飲むなんてのは、湯冷ましやろ過をする余裕が無いからするんだろうけど。
こちら側にも太陽炉を作る事を考えたが、アレを作るのも手間だし。安定して水が手に入るわけでもないし。他の方法を考えよう。
周辺には大きな川は無いが、探せば小さな川があるかもしれない。そこから水を引き込むことを考えるのが現実的だと思う。
小さな川が見つからない理由だが、単純に、空からだと木が邪魔をして地面を見通せないからだ。冬でも葉の落ちない木が結構あるし、いつ探そうと空から川が見付かった試しがない。400㎞先なら、湖や川もあったけどね。
そんな訳で、ようやく北の拠点へ続く道路の工事に取り掛かる事にした。
道路を工事するついでに川を探そうという訳である。
道路工事は面倒で気の滅入る仕事だが、川を探すという別の目的があればそれなりに頑張れる。
川が見つかったらまた気分が乗らなくなるだろうが、冬になったらトナカイが欲しくなるだろうし。その時にテンションを上げられると信じよう。
ああ、でも。川が見付かったとしても遠すぎたら引っ張ってくるのも面倒だよな。
まずは、北へ北へ。
その後の事はその後に考えよう。
獲らぬ狸の何とやら。
川はついでなんだし、まずは道路を作ろう。




