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太陽炉の有効活用

 針葉樹の使い道はあると言う事で。新しく針葉樹の森でも作ろうと思う。

 伐採した一区画に針葉樹の苗を大量に植え、近場で利用できるようにするのだ。


 その為には400㎞先の、実際には300㎞も動けば到達する針葉樹の森に行かねばならない。

 すぐに使う予定の苗は俺が飛んで回収するとして、その後まで考えると道があった方がいい。海路はクラーケン再来の危険があるので却下。船も無いし。



 新しく道を作るとして、俺が頑張ってちゃんとした道を作ろうとすれば1月以上の工期が予想される。石畳の道を作るのは意外でも何でもなく、面倒なのだ。

 一回100mの石の(かべ)を作るとして、実に3000回。途中の伐採と整地も含めれば作業量は泣きたくなるほど多い。まあ、伐採というか森林破壊は1日あれば終わるけど。


 それでもトナカイという別口の目標もあるし、地道なお仕事を予定に入れよう。

 毎日やる仕事じゃないので、合間を見てチマチマ頑張ろう。





 遠出も終わって、新しい仕事も抱え込んで、俺は俺の仕事をしようと思う。


 とはいえ、俺じゃなきゃ駄目だという仕事はほとんど残っていない。山脈強化とかぐらいじゃないか? 最近は家とか建物を増やすことが無いので手隙(てすき)なのだ。

 仕方が無いのできっと冬でも熱い場所、太陽炉の所に行く事にした。



 太陽炉は海水淡水化装置の事だ。

 その稼働率は夏の今がピークで、周辺は正に灼熱、地獄の様相を呈している。

 石造りだから融けたり燃えたりしないけど、淡水化装置に水をぶっかければ一瞬で蒸発するのが簡単に予想できる。


 淡水を作るのもそうだが、この装置は副産物として大量の塩も作っている。捨てるのも勿体無いので一応確保しているが、おかげで塩の倉庫は常に満杯だ。

 塩の使い道は日々の料理にそのまま使うのもそうだが、魚醤や塩漬け肉の為にもそれなりに使っている。


 なお、500人分の食用塩は1日10㎏に満たない。家畜たちを含めればそれぐらい使っていると思うが、人間だけだとその半分じゃないかな。

 5gが成人が1日に摂取する世界基準で、日本人は12gぐらい使っていて、俺が料理を指導したグラメ村だとたぶんもうちょっと少ない。まともに量った事は無いけど。


 減塩した方がいいのは確かだけど、味と高血圧のリスクのどちらを優先するかと言えば、俺は味を優先する。

 みんなには悪いが、強制的に付き合ってもらうとしよう。俺の分だけ特別に塩を増やすと、逆に問題ってのもあるし。

 それに、みんなは肉体労働が多いから汗をかくだろうし、塩分多めでも問題ないよな、たぶん。



 そんな事を考えながら、俺は太陽炉を増設する。

 正確には太陽炉で作られた蒸気の通り道に、だけど。


 蒸気タービンって、使い勝手のいい動力だと思うんだ。

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