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針葉樹の使い道

 今更思い出したんだけど、チョウザメってエンペラーフィッシュなんだよな。

 つまりは皇帝のお魚。中国の皇帝が毎年持ってこいと命令するほど貴重で美味しいお魚。レッドブックに名前が載っちゃうほどおいしいのだ。意外と人工飼育が簡単とは聞くけどね。

 そんな貴重なお魚は、幹部クラス、リーダークラスの人間だけで美味しく頂きました。


 20人で食べれば一人当たりの割り当てがずいぶん寂しくなるけど、これでも厳選したのだ。

 「俺が持ってきた魚=美味しい」の図式で、しかも遠出というレアイベントでしか手に入らない魚というプレミア感から誰が食べるのかを決める戦いは熾烈を極めたが、結局は権力者優先で話がまとまった。戦いの結末はどこに行ったのだろうか?


 そんな悲喜こもごもなイベントは横に置き、俺は特別参加のサヴと二人きりで話をしていた。



「そうか。あの島を見つけたのか」

「やっぱり、知ってたのか」


 サヴは昔、北の果てにある島で不老不死を手に入れた。

 ならばあの島の事も知っているのじゃないかと思って聞いてみたのだが、ビンゴだったようだ。


「あれは氷に閉ざされた神の島さ。セガール、アンタでも……いや、アンタなぐらいなら生きて帰れるのか?」

「いや、知らんよ」


 神の島。

 あまり関わりたくない単語が出てきた。俺の興味が一気になくなる。

 できればその中継地点ぐらいだったら嬉しかったのだが。何か貴重な資源があるかもしれないし。 


「そういう事なら島の近くで採れる木の方がいいさね。あの木は強く燃えるよ。まぁ、早く燃え尽きるがね」

「強く燃える?」

「ああ。船一杯に積み込んだ薪が帰りには空になっちまったがね。あの火力が無ければ生きては帰れなかったさ」


 んー。

 あっちでは薪木を燃やして暖を取る事や食材を焼く事をしなかったし、燃料としては考えなかったな。

 強く燃えるって言うなら、製鉄に役立つ可能性が有るなぁ。ちょっと試してみるか?



 それに、落葉樹が広がるように伸びるのに対して針葉樹はまっすぐ伸びる。

 その結果、木材として使いやすくなる。大きな船などを作ろうと思えば、落葉樹では物足りないのも事実だ。


 俺はグラメ村の森を思い出す。

 生えているのはほとんどが落葉樹で、例外的にイチョウのような針葉樹が生えているが、あまり木材向きの森ではない。

 炭にしているから今はあんまり気にならないけど、将来的には針葉樹をもっと増やした方がいいのかもしれない。



 森を作るまでには何年もの月日が必要だが、だからこそ今から準備しておくのは悪い選択肢でないと思う。

 苗とか、たまに採りに行くかな。


 ……ついでに、チョウザメも一緒に獲っておこうかな。みんなに内緒で。

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