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森の動物

 文官武官、新しい役職が浸透して村の体制も安定しだした頃。

 季節は夏になり、今年も暑い毎日が続く。


 暑いと言っても夜は意外と涼しく、日中の寒暖差が激しいのが救いである。夜寝るときに寝苦しくないというのは意外と助かるものだ。

 安眠できないと翌日の仕事に差し支えるからな。

 日本ならエアコンに頼ればいいけど、グラメ村にそんなものは無いので、氷の塊を置いておくのが精一杯の工夫になる。寝ているときは風が無いので思ったよりも冷えないんだ、これが。





 狩猟小屋という事で、村の外には狼と一緒に狩った獲物を血抜きし解体する家を作った。それと休憩所を併設し、一晩休むことができる程度に家具も置いた。


 また、狩猟小屋から村までの道を整備し、狩りの時のための道も森の中に通した。道があれば迷う事もないし、獲物の運搬も楽になる。

 そういった人工物は獣に警戒されそうに思うかもしれないが、ああいった物に警戒するのは人との付き合いがある場所にすんでいる獣だ。森の奥に居るような獣は人間の事を知らず、警戒することも無い。人間って身体能力だけを見れば獣に大きく劣るからね。警戒されようが無いのだ。


 トロッコの運用も検討されたが、さすがに獣が行き来するような場所にトロッコを設置したくない。

 村と狩猟小屋を結ぶ部分だけでもと言われはしたが、そもそもトロッコはステンレスではなく鉄製なのでメンテナンスが大変だ。増やしたくないという俺の都合もある。

 まぁ、せめて道は勾配を無くし台車を動かしやすくしたので、それで我慢してほしい。



 狼たちによる誘い込みは獲物が近くに居れば、わりと簡単に狩ることができる。

 しかし、当たり前だが獲物が居なければ狩りになる事も無い。そして同じ場所で狩りを続ければ獲物を狩り尽してしまうのが道理だ。しばらくすれば他から流れ込んでくる事もあるだろうが、それまでは暇になってしまう。


 だから1日に高効率で狩れる事もあり、5日に一回の割合で狼たちの手を借りることにした。

 さすがに毎日は大変だし、狼たちに与える報酬も馬鹿にできない量になる。毎日狩るのは色々と現実的でない。





 ここまで猪を中心に狩りを行っているが、不思議な事に、この近辺には熊や鹿が居ない。


 いや、1年目には熊が居たのだが、何故か今はいなくなったのだ。鹿は最初からいない。当たり前だが野生の山羊や羊だっていない。


 たった1年で、俺一人で狩り尽したとは考えられない。

 この辺りにいた熊はきっと賢く、俺という脅威がいる事で他に住処を変えたのかもしれない。



 気候を考えるといても不思議じゃないんだけどね。

 森の動物と言えば猪と狼、イタチと兎と鳥類がほとんど。

 そう考えると、一番大きな動物は猪かなぁ。体重的な意味で。


 もっと小さい、リスや鼠っぽいのもいるけどね。

 毛皮にならない、食肉に向かない生き物はどうでもいいのだ。スズメとかも中々美味しく食えると聞いたことがあるけど、試すことはたぶんないだろうな。



 これも食いたくないからどうでもいいと言えばどうでもいいけど、猿もいない。

 毛皮が欲しくなる狐もいなかったか? ここ最近は見かけていないのでたぶんいない。グラメ村以前だったかな、最後に見たのは。


 村に来る前はそれなりに珍しい動物も見ている。

 ライオンなどアフリカかと言いたくなるようなのも見かけたし、仕事で豹と戦った事もある。

 とはいえ、王国内に居るライオンや豹などは小型種だ。ライオンなど鬣こそ立派であるが、大型犬と言っていいサイズであり、そこまで威圧感も無い。豹なんて単独で生きているので狩りの相手としては楽な方だったりする。無益な殺しをしなくていいという意味で。



 こういった見かける動物と見かけない動物の差が出る理由は、俺にはよく分からない。

 気候とか飯とかそういった物が関係してくるのは分かるんだけど、それ以外の要因がなければ、いない事に説明が付かない連中もいる。


 せめて鹿が居ない理由ぐらいは知りたいものだね。

 できれば鹿狩りもやりたいのだよ。毎日が牡丹肉だと飽きるし。何か変化が欲しくなるのだ。

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