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開拓準備中

 村を作る事になった。

 開拓村だ。

 周辺貴族への根回しは既に終了しているという話なので、後は俺が動けばいいという事になっている。



 村民として、若い男を50人ほど集めてもらった。

 若い女の方は10人だけで、全員奴隷だ。彼女らは娼婦として扱われる。

 男どもが頑張ったら、彼女らは嫁として支給される。人権蹂躙? なにそれ? 異世界にそんな考え方あるわけないじゃん。そもそも俺は日本人だった記憶はあるけど、それが自分の記憶って考えていないし。前世とは別人だよ。日本人の感性なんて持ってないよ?

 と言うか、この世界では結婚は領主や家長のような上位者が命令して行うものだ。俺だって結婚相手を選ぶ自由が無い。貴族な俺の結婚は陛下の命令だな。だから何も酷くない。証明終了。何をだ。

 出来ればスラムとかから孤児とか子供を連れて行きたかったんだけど、信用が無いのでできなかった。無念。

 とりあえず、人間の方は以上。


 物資として馬車とテント、簡単な開拓道具に生活器具、現地までの食糧が渡された。

 衣類が無いのは嫌がらせか。無人島サバイバルなどでもスルーされる要素だが、衣類はかなり重要なんだけど。現地調達しにくい製品の第一位なんだから。

 足りない分に関しては支度金の金貨100枚を使えという事らしい。もしかして、試されてる? それとも俺の魔法でどこまで対応できるのかを計られているのか?


 俺は手持ちの金を使い、衣類や雑貨を購入。元冒険者なので、何が必要なのかはよく分かっている。

 服や寝具を増やし、安い医療品も購入。酒は百薬の長、特に心を癒す万能薬だ。これを買わない手は無い。

 他にも必要だと思った物は購入していく。


 あとは商人を手配し、食糧を持ってくるように交渉しておく。場所が場所なので、相場の3倍ぐらいで買うという話をしておいた。

 持っていく物資が無くなった後も考えると月に一回は商人が来るように、それを最低でも半年ぐらいは通ってもらわないと困るだろう。


 つい買い込んでしまったので貰った金貨だけじゃちょっと足りなくなりそうだけど、自分が冒険者時代に稼いだお金があるからいいや。たしか……金貨換算で2000枚分ぐらい? 宝石で持っているから、たまに分からなくなるんだよな。

 余談だけど、金貨100枚は日本円換算で10億円ぐらいだと思えばOK。細かいことを言いだすと全然違うんだけど、食費から計算するとそれぐらいって事で。





 で、準備が終わったから開拓予定地に向かって移動を始めたわけだが。


「おおっと、ここから先は通行止めだ。もし通りたければ、出す物を出してから――ぐぎゃっ!!」


 この国の治安はあまり良くないらしい。

 何度も小銭――もとい、盗賊が現れた。


 薄汚れていて貧相だけど武器や防具で身を固めている盗賊は、俺にとっては小銭でしかない。

 倒して、首を刎ねて、武器と防具を回収するだけの簡単なお仕事です。


 賞金と武器防具の売却で半金貨――文字通り金貨の半分の価値がある――になった。

 隷属魔法とかあれば奴隷にするっていう選択肢もあったんだけど。そんな便利な魔法は無いから諦めて賞金だけで我慢した。






 村(予定地)に着いた。

 海岸線沿いで、近くに森があるけど、岩がゴロゴロあって平地の少ない、そんな場所。


 この場所は、メシマズ村の領主が頑張って切り拓いた森のあった場所なんだ。

 森が近くにあるっていうのは、ハイリスクでハイリターンなんだ。森の恵みが手に入るんだけど、森の獣に襲われる可能性が高いんだよ。特に魔境と呼ばれる森の獣は普通の獣よりも強くて賢い。危険度はかなり高い。

 そんな魔境の獣を狩れる人間がいれば何とかなるんだけど、そんな奴は大概冒険者にでもなって村の外に行く。だから安全の為に、狩人のいないメシマズ村が何年もかけて森をここまで切り拓いたわけだ。



 俺達がここに村を作ると聞いて、メシマズ村の領主は嬉しそうな、悔しそうな顔をしていた。

 今度は俺達が森を切り拓いていくから、その分だけ安全が確保できて嬉しい。

 自分たちが切り開いた場所に余所者が村を作って悔しい。

 大方そんな所だろう。


 自分たちでは村って名前の防波堤を新たに作る余裕も無かったわけだろう? ならありがたいと思ってもらえるはずだけど。やっぱり自尊心が邪魔をする。


 ご近所さんなんだし、仲良くできるに越したことは無いんだよ。

 でも普通の貴族って、領地が隣り合えば殺し合いするほど仲が悪くなるっていうし。

 俺だけが仲良くしたいって思っても無駄なんだよな。

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