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追肥試験

 今回被害が出たのは、農地の中でも今年の小麦畑だけだ。

 そう言えばと思い出したが、去年も小麦の収穫高は8割程度に減っており、不作といえば不作であった。


 ノーフォーク農法はその時にはすでに似たような形で進めており、家畜の糞による肥料が鶏のそれだけという問題に目をつぶれば、大きく間違った事はしていなかったはずである。

 クローバーによる地力回復を待ってから小麦を作付しているので、土地の状態は最も良いところからスタートしている。


 これまで見てきたこの世界の法則や植物の特性などを考えると、細かい差分は魔法という形で存在するが、ほぼ地球と同じと思っていいハズであった。

 もしかしたら俺は何か見落としているのかもしれない。





 見落としが無いかを探るため、俺は小麦畑の土を掘り返していた。


 もしも俺の消毒や殺菌の魔法が地上にしか効果が無い場合、土の上の病原菌だけ退治できていたかもしれないが、土の下の病原菌が見逃されていた可能性が有る。

 であれば土の中で何かが起きている可能性は否定できず、その兆候が目に見える形で存在しないかを確認しているのだ。


 前世でカビに侵されたジャガイモの写真を見たことがあるが、黒くなっていたため非常に分かりやすかった。

 ああいった事になっていないかを確認してみたが、見た目は普通で、害虫などに根っこを食い荒らされた形跡もない。


 育ちが悪いだけと考えれば小麦たちは健康なのだ。

 本当に、何が悪いのか分からない。



 土の状態そのものも悪くない。

 赤土とかのように、鉄が多く含まれているわけでもない。黒い、健康な土だ。

 それに鶏糞で作った有機肥料を与えているのだし、栄養不足とも思えない。



 もっと肥料を与えるべきか?

 それとも別の肥料も試してみるか?


 もしも肥料が足りないのであればそれが分かりやすい解決策だろう。

 だが、そうでなかった場合を想定して俺は肥料の与え方を何パターン化に別け、肥料と育ちの関係を比較することにした。



 もしかしたら、土の養分とは全く関係なく肥料は無駄になるかもしれない。

 しかし、それならそれで一つの経験を得たと思っておこう。


 何もしないで不作に悩むより、一つ一つ予測される問題を潰し、原因を調べる事が問題解決の最短ルートだ。


 堆肥数種類と骨粉・魚粉、灰の肥料。

 どれが問題解決に役立つか、3ヶ月後まで見守るとしよう。

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