狩猟罠
狩りの省エネ化が必要だ。
弓矢を導入することを考えたけど、それよりも安全確実な狩りと言えば罠だろう。
トラバサミのような強力な罠は無理でも、落とし穴や足括り紐のような罠ぐらいは作れるのだ。それらを活用する事でもっと狩りを安定して行えるようにしたい。
落とし穴については語るまでもないだろう。どちらかと言えば、猪などを落とし穴に嵌める餌の方について語った方がいいぐらいだ。
単純な話、深さ2mの穴を掘っただけでは猪も避けて通る。だから蓋をして、蓋の上に誘導する何かが必要だ。
餌を使った誘導と言っても、ドングリを置いただけで猪は寄ってこない。他の場所にもドングリが落ちているので、あえて罠の近くに来ることが無いのだ。
では、炒ったドングリではどうか?
こちらなら、まだ寄ってくる可能性はある。香ばしい匂いは強い存在感があり、周囲へのアピールは十分である。家畜化した猪には大好評だったし、これなら間違いなく寄ってくるだろう。
猪は頭の良い動物であるが、未見の罠に対応できるほどでもない。既知の罠に対応するのが精々だ。
もう一つの罠、足括り紐はもうちょっと複雑だ。
まず、深さ20㎝程度の小さな穴を掘る。直径は10㎝もあれば十分だろう。あまり大きすぎない方がいい。
穴の周りに輪にしたロープを置く。輪っかは引っ張ったら絞られるようになっていて、ロープの先を近くの太い木に縛っておけばOKだ。他にもロープに鳴子を付けておくと獲物がかかったのが分かりやすくなる。
もしも猪の足がこの小さな穴に嵌れば、あとは木に繋がれて逃げられなくなる。
この罠は確実性が低い半面、落とし穴よりも設置しやすいのが特徴だ。
落とし穴は穴を掘るのにとても時間がかかるが、ちょっとした穴を掘ってロープを設置するだけの足括り紐なら現場の設置時間は10分の1まで削減できる。
設置場所は獣道を選べばそれなりに捕まる事があるので、わりと気軽に試している。
巡回ルートとして村の外、罠のあたりを見て巡らせる。
罠にかかった獲物が居れば回収し、解体小屋まで運ばせる。罠は解体小屋の周辺に配置するが、今後を考えれば解体小屋を複数箇所に設置して、状況に合わせて使うべきかな?
血抜きの為に吊るさせれば、人を呼びに行く間に血が抜ける。
解体小屋は空堀付きの高床式なので、放置しても人以外が入る事は無い。獣を盗む馬鹿はまずいないので、人が離れても大丈夫。
血の臭いが周囲に漂うけど、その程度の事を気にする奴だってほとんどいない。
むしろそれで獣が集まるなら都合がよかったりするのだよ。最近は獣も寄ってこないけどね。どこかで誰かがやり過ぎたらしくて。
罠を使った事で得られる獣は5日に1頭いれば良い方。
10日に1頭は確実だけど、食肉事情を改善できるレベルではない。
これは獣の縄張りとか罠の確実性とかの問題であり、効率はあまり良くないかな。やらないよりはずっといいけど。
そのうち猪も学習するし、これは失敗かな?
となるとあの子たちに頼むのが一番確実で、安定するか。
専任の狩人を育てたりするのも必要になるけど、そこは諦めるしかないな。




