川の強化
色々と煮詰まったときは初心に帰るべきだ。
今年は山脈を作るのではないが、山脈を増設して川の強化をしようと思う。
現在、俺が頑張って作った川は幅20㎝程度の用水路みたいなサイズだ。
これが山から海まで、ずっと続く。
雨が降れば溢れかえるが、晴れが一月続けば枯れてしまう。半月ぐらいなら雨が降らなくても大丈夫だったけど。
この小川とも言えない微妙な川を、川魚が住んでいても不思議じゃないレベルまで育ててみたい。
そんなわけで、山脈の中にある泉に来た。
泉の周辺は木々をそのまま移植したので、最初から林の中にある。
泉は稀に枯れるけど、普段は真水を湛えているために多くの草花が生えている。俺が植えた甜菜や菜の花も生い茂り、完全に野生化している。菜の花はもともと野生だったけどね。
植樹を行ったのは土砂崩れを防ぐ為だった。
しかし、植樹直後や嵐の後などにはどうしても土砂崩れが起きてしまい、山脈の一部は地肌が禿げている。
あと、水が足りない山頂付近は最初から禿げている。草ぐらいは生えているが、山頂を起点とした土砂崩れも結構ある。
崩れて標高が低くなり、裾野が広がったことで安定してくれたのならいいのだが、今度はその崩れた所めがけて周囲が土砂崩れを起こす2次災害も起きた。
少なくとも、放置していけば山は無くなりちょっと小高い丘に変わるだろう。もちろん川は消えてなくなる。
そんな事にならないよう、もう一度土を盛り木々を植え、一部に壁を作って土砂崩れに備える。
崩れた所は崩れる理由があるのかもしれない。木々が残っている所よりも念入りに土を盛り、より安定するように考える。
ついでに一部の標高をより高く設定してみた。盛った土の量が貯水量に直結するのだから、標高を高くするのも間違った判断ではないと思う。
逆に石壁で切り立った崖を作るなど、貯水や土砂崩れを無視した地形も追加する。あとは草が生えないような岩石地帯とか。
どうせ崩れた跡なのだ、多少バリエーションを追加してみるのもいいだろう。切り立った崖って、鳥が巣を作りそうなイメージがあるからね。崩れないならという但し書きは付くけど、多様な生物相を持つ為の手助けになるだろう。
頑張って山脈に手を加えてみるが、それですぐに川幅が広くなるという事は無い。
ちょっとは効果があったと思うけど、その効果が実感できるのはしばらく先だ。弄った環境が安定するまで、雨でまた貯水量が増えるまで。現状維持が精一杯である。
今のところ、用水路みたいな川に棲み付く魚はいない。
草とかは川を飲み込みそうになる勢いで生えるけど、本当に川が無くなる事もあるから逆効果。ローマンコンクリートによる護岸工事が必要かもしれない。
この状況で自然を大切になどとお為ごかしを言う気にはならない。それよりも欲望に忠実に、川の拡張をこそ求めてしまう。
かと言って水量を増やさず川の幅を広くすると、そこで川が消えてしまう……。
たとえコンクリートで川底を固めようと、表面積の増大により蒸発してしまえば関係ないのだ。
川の強化は地道な努力がものをいう。
山に盛る土の様に、積み重ねていくしかないのだ。
 




