表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/550

川の強化

 色々と煮詰まったときは初心に帰るべきだ。

 今年は山脈を作るのではないが、山脈を増設して川の強化をしようと思う。



 現在、俺が頑張って作った川は幅20㎝程度の用水路みたいなサイズだ。

 これが山から海まで、ずっと続く。

 雨が降れば溢れかえるが、晴れが一月続けば枯れてしまう。半月ぐらいなら雨が降らなくても大丈夫だったけど。


 この小川とも言えない微妙な川を、川魚が住んでいても不思議じゃないレベルまで育ててみたい。





 そんなわけで、山脈の中にある泉に来た。


 泉の周辺は木々をそのまま移植したので、最初から林の中にある。

 泉は稀に枯れるけど、普段は真水を湛えているために多くの草花が生えている。俺が植えた甜菜や菜の花も生い茂り、完全に野生化している。菜の花はもともと野生だったけどね。



 植樹を行ったのは土砂崩れを防ぐ為だった。

 しかし、植樹直後や嵐の後などにはどうしても土砂崩れが起きてしまい、山脈の一部は地肌が禿げている。

 あと、水が足りない山頂付近は最初から禿げている。草ぐらいは生えているが、山頂を起点とした土砂崩れも結構ある。


 崩れて標高が低くなり、裾野(すその)が広がったことで安定してくれたのならいいのだが、今度はその崩れた所めがけて周囲が土砂崩れを起こす2次災害も起きた。

 少なくとも、放置していけば山は無くなりちょっと小高い丘に変わるだろう。もちろん川は消えてなくなる。



 そんな事にならないよう、もう一度土を盛り木々を植え、一部に壁を作って土砂崩れに備える。

 崩れた所は崩れる理由があるのかもしれない。木々が残っている所よりも念入りに土を盛り、より安定するように考える。

 ついでに一部の標高をより高く設定してみた。盛った土の量が貯水量に直結するのだから、標高を高くするのも間違った判断ではないと思う。


 逆に石壁で切り立った崖を作るなど、貯水や土砂崩れを無視した地形も追加する。あとは草が生えないような岩石地帯とか。

 どうせ崩れた跡なのだ、多少バリエーションを追加してみるのもいいだろう。切り立った崖って、鳥が巣を作りそうなイメージがあるからね。崩れないならという但し書きは付くけど、多様な生物相を持つ為の手助けになるだろう。





 頑張って山脈に手を加えてみるが、それですぐに川幅が広くなるという事は無い。

 ちょっとは効果があったと思うけど、その効果が実感できるのはしばらく先だ。弄った環境が安定するまで、雨でまた貯水量が増えるまで。現状維持が精一杯である。


 今のところ、用水路みたいな川に棲み付く魚はいない。

 草とかは川を飲み込みそうになる勢いで生えるけど、本当に川が無くなる事もあるから逆効果。ローマンコンクリートによる護岸工事が必要かもしれない。

 この状況で自然を大切になどとお為ごかしを言う気にはならない。それよりも欲望に忠実に、川の拡張をこそ求めてしまう。


 かと言って水量を増やさず川の幅を広くすると、そこで川が消えてしまう……。

 たとえコンクリートで川底を固めようと、表面積の増大により蒸発してしまえば関係ないのだ。



 川の強化は地道な努力がものをいう。

 山に盛る土の様に、積み重ねていくしかないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ