蒸留
ボコボコにされそうになりました。
普段から魔法で防御していたので無事でしたけど、危うく涅槃に旅立つところでした。
ええ。
女性に「太る」という言葉は言ってはいけないのですね。
侍女たちにはメレンゲで作るシフォンケーキの作り方を教えて許しを請うたのですが、それまでに私のライフが0になるかと思いました。
マジで死ぬかと思いました。
おかげでなんだか喋り方が変になってしまいましたよ。今は奇怪な物を見るような目で見られております。おかしいですね?
過ぎた事は横に置くとして、海水淡水化のため、簡易浄化装置でも作ってみようかと思う。
海水が飲み水として使えないのは、海水に含まれている塩分が一番の問題だ。
塩分さえ除去できれば飲み水にできるわけだが、それが簡単にできるなら苦労はしない。だったらやるなと言われそうだが、もし多少でも実現できれば大きな財産になる。頑張ろう。
海水淡水化については、大きく二つの方法が採られている。
蒸留とろ過だ。
ろ過については海水を漉すための逆浸透膜が用意できないので、実質蒸留一択である。
蒸留酒を作るように蒸留水を作ればいい。
とはいえ、蒸留は大規模な機械でやろうと思うととてもたくさんの燃料を必要とし、現実的ではない。大型の蒸留器を作るのも難しい。こんなことで大量の薪を消費しては製鉄に影響が出るのでコスパが悪すぎる。
だったら薪を使わないクリーンエネルギーの利用も視野に入れてみよう。
太陽光を使って蒸留する装置を作ってみよう。
最初はレンズを使って太陽光を収束させ、その熱量で蒸発を促そうと思ったがこれが上手くいかない。
海水は蒸発はする。水蒸気を集める事も簡単だ。
だが、圧倒的に量が少ない。1時間当たり1リットルも真水を確保できない。
温室を使って放熱を減らし熱効率を良くして、黒い塗料で熱吸収を良くしたりと工夫をしてみるが、それでも駄目だ。
数を揃えればいいのだが、またガラスの大量生産はしたくない。それに場所を広く使う事になるのでとても面倒くさい。あと、蒸留した水を集めるのが大変になる。
小学生のやる理科の実験的な手法では限界があるのかもしれない。
ここは一つ、一歩踏み込んだ施設の建造に着手するとしよう。
太陽炉だ。
反射集光方式による、太陽炉を作るのだ。
同じだけ場所を使うにしても、この方がスマートじゃないかと思う。




