家畜の出産
畜産センターの担当に「サイレージ製作」「サイロの管理」という新しい仕事が増えた気もするけど、大丈夫。管理する家畜の数は変わっていない。
食事量が増えて大変になった時もするけど、大丈夫。その分は乳量アップで返ってくるから。
……全然大丈夫じゃないよね。
増員を考えるべきかね。最近は鶏糞担当とかも仕事が多くて大変だと嘆いていたし。
どこから人を出そう?
水牛や羊は妊娠期間が異なる。
水牛は10ヶ月程度。
羊は5ヶ月程度。
そして晩冬か春先に出産するのが好きなのか、水牛は春に、羊は秋に発情期が訪れる。
羊は出産後にまた発情期が訪れるので、秋ごろに2回目の出産をする。これを考えると、水牛や羊は妊娠期間中以外は発情している気がするんだ。「年中盛っているのは人間と兎(と鼠)ぐらい」なんて言われる事もあるけど、他の動物も似たようなものじゃないか?
発情期と言っても常に発情している訳では無く、1週間の間の何日か発情し、しばらく落ち着いたと思ったらまた発情するサイクルを繰り返す。
妊娠すると発情しなくなるので、発情しなくなった段階で首にいつ発情しなくなったか分かる札を掛け、出産予定日を把握してから分娩に臨んだ。
人間の出産もそうだが、分娩にはリスクが付きまとう。
介助が無いと母子ともに危険な状態になる事もあり、特に家畜として長く生きてきた種であればその危険はより大きくなる。自力で出産することに慣れておらず、人の手を借りるのが前提になっているのだ。
今まで飼ってきた兎、猪、狼、鶏は前3つが元野生動物で気にせずともよく、残る鶏はそもそも卵生で関係なかった。
水牛と羊の分娩の手伝いはここ最近で一番の大仕事である。
俺もいざって時のために立ち会ったけど、赤ちゃんを引っ張り出すのは本当に大変そうだった。何頭かは魔法による回復が無ければ危険だった程だ。
もっと経験を積み、俺の魔法無しでも大丈夫になって欲しいものだ。
チマチマと数を増やす家畜たちだが、真面目なお話、管理する人員が足りなくなってきたように思う。
他の奴らにも仕事はあるし、余り引き抜きはしたくない。
かと言って他から連れてくるにしても、水回りの問題でこれ以上人を増やせないといった言い訳をしているので、あまり目立った人員募集をするわけにもいかない。
こうなると、もっと別のアプローチが必要になるか。
村、増やすかな?
ちょっと森の奥、村から離れた所に大きめの池でも作ってさ。新しい村を作るんだ。
……自分で言っていて、無理があると思うけど。
 




