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人材育成(文)

 世襲制の是非は横に置くとして、初代になってくれる人間をピックアップする必要がある。

 俺のサポートをするだけでなく、村の発展のために動ける人間がいい。俺の意図を汲み、俺の願う方向に動ける人間。かと言って俺の願いから逸脱せず、暴走をしないような人材。法律に詳しく、何かあった時に俺に注意警告ができる様なアドバイザー。

 ……無茶言うな。そんな人間、現代日本でだってなかなか居ないっていうの。



 高望みはしないとしても、求められる能力というのはある。

 それは文字の読み書きと、簡単な計算能力だ。


 もちろん、村でそんな事が出来る女性はサヴぐらいだ。

 奴は例外とすると、「誰もいない」のが現状だったりする。


 嫁さん連中は貴族なんだし、読み書きぐらいできると思うかもしれない。

 しかし、普通の女性は読み書きできないし、計算も学ばない。



 彼女らの頭のいい悪いではなく、単純に彼女らには学ぶ機会が無かった。

 そういう事である。





 という訳で娼婦の中でも妊娠中の女性には読み書きそろばん――じゃなくて計算を教える事にした。そろばんは、俺が使い方を知らないので、パス。作り方は知っているんだけどね。


 読み書きを教えるなら、テンプレに頼るのが吉だろう。



「酒は飲んでも――」

「はいっ」

「あ、その絵は「水」だからお手付きね」

「……はぃ」


「愛情の無い小僧は愛憎」

「……はいっ!」


 単語学習のお約束、それは絵付きのカルタだ。

 読み上げた言葉の書かれた札を回収する対戦ゲーム。


 だいたい一回3人を相手に勝負させている。


 身重の妊婦にやらせるゲームとしては微妙かも知れないが、他には単語を並び替えて文章を作る子供向けゲームしか知らない。

 「いつ」「どこで」「だれと」「だれが」「何をした」という括りでそれぞれの単語を大量に作り、並べて出来た文を読めなかったらそれをやらせる、というゲームだ。


 例えば「朝」「食堂で」「自分と」「左隣の人が」「料理をした」だったら、「朝」「食堂で」「読めなかった人が」「料理をする」わけだ。

 事前に単語の読み方については一通り説明するけど、これが意外と難しい。俺はドイツ語でこれをやったことがあるけど、ほとんどできなかったよ。





 計算についてはゲーム的な物を思いつかなかったので、普通にドリルをやらせるだけである。

 この世界の数字は最初からアラビア数字のような10進数だったので、そこは比較的楽に日本式算数を教える事が出来た。これで英語みたいな文章だったら、アラビア数字を導入したんだけどね。


 まずは足し算と引き算。

 3ケタの暗算できるまで鍛えることにした。



 それだけだと数字を見るのも嫌いになるかもしれないと、数字を使った遊びも教える事にした。


 数独(ナンプレ)である。



 数独は基本的には9×9マスの中に数字を並べる遊びである。たまに25×25マスとかハイレベルで時間のかかる奴もあるけど、俺がよくやっていたのは9×9マスだ。


 ルールはシンプルで、縦横と3×3マスの小グループの中に同じ数字を使わないように1~9の数字を並べる。

 消去法で埋めていくのを基本に、他との兼ね合いで埋めたり、他を埋める可能性から類推したりと、「隠しレーザー」「同盟」などのテクニックでマスを埋めていく。



 もちろん素人が作った問題は駄目な点がそれなりにある。

 複数の回答があったり、途中でヒントが足りなくなったり。問題として成立していないことがあった。


 それでも何度もやってみる、やらせることで問題はどんどん増えていき、中には自作するほどハマる者が出てきた。

 数独はちょっとした遊びとして女性陣の中でブームになりつつある。



 あとでヨカワヤにこの問題集を売ってお金にしよう。

 数字が読めなくても見た目で分かるし。庶民にも売れるんじゃないかな?

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