人材育成(武)
人材育成は簡単ではないし、すぐに終わる事でもない。長期戦が見込まれる。
そして、どのような人材を育てるかで方法が大きく変わる。
「と、言う訳で。団体戦をしたいと思います」
「いや、どういう訳っすか?」
まずは戦場のリーダーを決めようと思う。
10対10のゲームをする事にした。
戦闘じゃなくてもいいので、対戦することに意味がある。
勝利を目指す過程で行われる思考が重要なのだ。
やるのは旗取りゲーム。
互いに自陣にある旗を守りつつ、相手の旗を獲るだけの勝負だ。
殴ったり蹴ったりといった行為は禁止だが、タックルや拘束といった攻撃はアリ。怪我をさせる行為は禁止って事だ。
ボールは使わないがアメフトやラグビーに近い。
念の為に怪我をしないように監視はするけどな。
武官候補と言う事だから男連中のみで勝負を行うが。
「無様、だな」
半分試合を消化したが、全員力押しのみ。
全員で突っ込んで、陣と陣の真ん中で戦って、そこで勝った方がゲームの勝利者。
防衛など考えない。攻撃を考えず、妨害に全力を費やせば多少の人数差を埋める事も可能だろうに。そうやって人数差を埋めつつ、攻撃人員を確保する。その程度の作戦は立てて欲しい。
要するに、現段階では戦術について考える奴がおらず、全員が兵士レベル。隊長レベルが1人もいないという結果になった。
なので、1チームに知恵を与える。半数が防衛に専念して時間を稼ぎ、その隙に誰か一人が旗を獲りに行けばいいと言ってみる。
これで何か変わるかな?
今度は2人で3人を抑え、1人フリーの攻撃手を作る作戦の戦術で戦ったチームが勝った。
戦術を真似することでちょっとはみんな考えるようになった。
3人3チームでフリーにする1人を先に決めておき、スムーズに動けるようにするチーム。
4人で5人を、5人で6人を抑えようとするチーム。
ちょっとは考えるようになったけど、まだ考え方が硬直してる気がするね。
次は中央の主戦場を迂回して動くようにアドバイスするか。
迂回した奴をインターセプトするようになった。で、主戦場で1人が抜け出すまで頑張る、と。
インターセプトに失敗するとそのまま勝負が決まる。足の早い奴を遊撃手に回すようになったな。これはこれで。
とはいえ、まだ足りない。
他には、最初から一人ぐらい保険を置くように言ってみるか。遊撃手なんて最初から防衛担当が居れば楽に防げるんだし。旗の近くで守る方が効率が良いだろう?
試合が一周し、勝利チームを使ってトーナメント方式でまた戦わせる。
優勝チームが決まるまでの間にだんだんといろいろ考えて動くようになっていくけど、それでも俺が最初にしたアドバイスから脱出する気配が無い。俺の教えから発展はするけど、新しい戦術には至らない。
まぁ、まだ一回目だし。
おいおい変わっていくだろう。
とりあえず、勝利回数ごとにご褒美かなー。
みんなで飲んでくれたまえ。




