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盗賊(中)

 楽しい楽しい、盗賊退治。

 この無駄なお仕事のために、多くの人員が時間を浪費するわけだ。まったく持って腹立たしい限りである。


 かつてメシマズ村が切り開いた森林だが、そのほとんどは海岸線沿いである。

 これは切った木材の運搬の為で、彼らは木材を海に落として船で運んでいたからなのだ。海岸線から内陸までおおよそ2㎞。それが彼らの精一杯である。


 よって、海運に不便な内陸部の森林はかなり残っている。

 少し陸地側に目をやれば、森は、木々は、至る所にある。

 俺自身、メシマズ村との村境が近づくことを嫌って北へと伐採を進めているので、南の方は手付かずだ。


 相手はこの森を使うと考えていい。




「べーとこーん、べーとこーん、ふってくるー。

 海兵隊をブッ飛ばしー、北アメリカにー帰れとさー」


 俺がやっているのは、森に仕掛けるトラップ設置だ。

 麻のロープを使い、上から致死系の凶器が降ってくる仕掛けを作っているのだ。

 内容はとても簡単で、槍玉を木の上に置く。落ちないようにつっかえ棒を置き、木の下に張ったロープとつっかえ棒が連動するように結ぶだけ。足元のロープに引っ掛かると、上から槍玉が落ちてくるわけだ。

 あとは落とし穴なども掘って足場を悪くする。落とし穴は落とす為だけでなく走れる足場を減らす為にも有効だ。


 村の南側の森には狩り以外では人が入らないので、こんなものを設置しても問題ない。



 気休めかもしれないけど、村の壁の外にも防衛設備はあった方が良い。

 平地は交易のための街道なので何も置けないが、森ぐらいは何か置いても構わないだろう。さすがに村の目の前で野営をして、森の獲物で飢えを癒そうとする奴らなんてまず居ないだろ。今までだって嫁さんの護衛できた軍隊ぐらいじゃないか?





 村の周りを固めてはいるが、村近辺を戦場にする気は無い。俺は姿を消し、空の上から見慣れない集団を探す。


 基本的に冬は来客が無い。

 ヨカワヤは冬の移動を嫌うし、それ以外の客が来たという事も無い。義兄と連絡を取る約束をしたが、アレは春になってからの話だ。冬の間は何もない。

 だから冬の間に近づく連中がいればビンゴ。大当たりだ。メシマズ村に寄っていなければ完璧。普通は他の村を経由して移動するのだし、それを避ける段階で怪しいなんてもんじゃない。


 例えば森の中を隠れて移動する、50人ぐらいの集団とか、な。



 空から確認した敵の数はおよそ100人。戦闘用の部隊と、後詰の街道封鎖用の部隊とに分かれて動いている。部隊はそれぞれ50人。後詰の方には3頭だが馬がいた。とても有難い。盗賊の持ち物なので、有難くいただくとしよう。


 馬は平地を走る生き物だが、別に森を走れない訳じゃない。日本原産の野生馬のいくつかは森を棲みかとしていた。

 奴らが使っているのはそんな小型の馬で、サラブレッドのような馬ではない。



 奴らの現在地はグラメ村から40㎞ぐらいだ。

 戻ってすぐに動けば1日移動の翌日開戦ってところかな。


 明日は忙しくなるね。

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