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結婚行進曲

 この国の結婚の概念はとてもあっさりしている。いや、周辺各国も似たようなもののはずだが。


 王族や貴族であれば家系図を作るために役所に書類を提出。子供ができた時も同様の手続きを行う。結婚式は夫の領地でやるのが一般的。

 市井の者であれば周りの者に結婚したぞと言って騒ぐだけでいい。書類は不要だ。


 細かい話をするなら、この時代の結婚とは「子供の親をハッキリさせる事」が目的であり、その必要が無い、必要を感じない者にしてみれば「結婚自体に意味が無い」となる。それでも結婚したと表明するのは伴侶以外と子作りしないという宣言みたいなものだ。実際、田舎では結婚という風習が無かったりする。

 貴族にとっての結婚とは、性交相手の限定が目的というわけだ。



 現代日本の結婚だと「資産を共有し、性交相手を決める事」を言うのだが、資産については共有しないのがこの世界の結婚である。

 何故か。

 女性の人権が無く、夫側にしてみれば嫁が財産だからだ。つまり共有するのではなく、男性側が総取りするのが表向きの事情だ。


 裏向きの話としては、家同士の縁が結ばれる事にある。

 財産が共有されるといった話は無いが、それでも縁のある相手として付き合いが生じる。俺の場合は戦場へのお誘いがあったり鉄の納品先に口を挟まれたりするわけだな。

 一般的には要求に対し見返りを用意するのが常識なので、一方的に搾取される事は少ない。無いとは言わないが家の格の差が、当主の力量差がはっきり開きすぎると、そう言う事も稀にある。搾取はあんまり褒められたことじゃないので、周囲にバレると馬鹿にされるけどね。


 結婚相手を決めるのが上役なのは、こういった家同士の結びつきをコントロールして国内の平定に役立てる狙いがある。



 常識・制限・制約・変わり種としては長子継承、浮気と同性婚の禁止、初潮前の子に手を出すのも禁止、娼婦を買うのは浮気じゃない、一夫多妻制、妻が30過ぎたら別れて良いということぐらいか。

 理解できる部分もあるけど、理解しがたい話もある。そこはもう国と時代の違いとしか言いようがない。


 根っこにあるのが子作りなので、制限はほとんどそっち関連が多いと思う。

 年齢ネタで精通・初潮がまだの子供が結婚するのは問題ないのかと言うと、未来があるから問題ないという回答が返ってくる。結婚に年齢は関係ないのだ。離婚には関係あるけどな。





 俺の状況を確認してみる。


 ロリ枠のユリアにはまだ手を出してはいけない。

 他の婚約者には手を出せる。

 ただ、長子継承を考えると初子はユリアの子が望ましい。


 娼婦はアリなので、それまでは娼婦でも買って性欲を発散しとけという結論が出てくる。娼婦、買わないけどな。娼婦は村民用だ。

 侍女に手を出すというのも定番だが、それもしない。うち何人かは家から浮気相手を狙ってみろと唆されていたから、手を出しにくい。火中の栗を拾う趣味は無い。

 俺は脳みそがおっさんだから、性欲は弱めなのだ。


 結婚式は秋にする事になった。

 収穫祭に合わせてやった方が豪華になるからという、身も蓋も無い理由である。

 マンソン卿の所でカルボナーラのついでにいろいろ売ってもらえるよう、今のうちに話し合いをしておく必要があるのも理由だ。行ってすぐ商品が揃う訳じゃないのだ。


 ドレスやらなんやらは自前で用意してもらったので問題ない。

 アクセサリーはシャ○○やらなんやらと、俺が覚えている有名店のデザインをパクって作ってみた。細部は違うだろうが、記憶があやふやなので適当です。

 韓国人になった訳じゃないので、完璧な偽物は作れませんでした。南大門や明洞の偽物屋は一回捕まった方がいいと思う。



 いろいろと準備していると、結婚行進曲が聞こえてくる。

 これが噂のマスオ(むこ)ホールド(固め)か。なぜか言いようのない不安が押し寄せてくる。


 前世では結婚していたけど、さすがに重婚はしてなかったし。

 情緒不安定になりつつあるなぁ。

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