表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/550

婚約者騒動⑤

 王都に行くまで、片道約2時間。

 行って帰ってくれば、馬車が村に付いてから出かける前と途中の雑用も含めて5時間は経過してしまう。

 馬車が来たのは昼すぎ頃の話だ。帰って来た時には夕方になっていた。



 あのファザコン馬鹿を除く婚約者達9人とのお話は順調に終わった。

 この村における先輩婚約者6人から俺の話を聞いた新参3人は、俺が必要以上に干渉せず、むしろ婚約者としてもっと構って欲しいと思うほどの放任主義者であることを理解してくれた。


 社会的身分を考えると婚約者の序列はこの国の王女がトップで、隣国の王女、公爵令嬢、他という順になる。

 ただし実際の序列というか力関係で行くと、公爵令嬢、隣国の王女、王女、他の順になる。

 力関係の方は家の立場よりも年齢や性格的な物も絡んでくるのでこのようにまとまった。


 あとは結婚した後の話だが、彼女らは特にやりたい事を持たず、ただ俺と縁を結ぶ事だけを望まれてここに来ていた。スパイ行為などをする気も無いようなので、多少相手をするけど基本は放置になる。

 あ。俺の嗜好についての報告だけはしたいそうなので手紙の類は許すことにした。無論、検閲はするが。





 山脈作りの方は水路を作り終え、その上の山を乗せる段階に入った。

 山の上で≪丘創造≫を使うと他に影響が出て余計に時間を使うようなので、下で作った小山を上まで運んでいる。当たり前だが、必要な土は土台よりも少なくていいのでこのやり方でもなんとかなる。


 この上の山が貯水の役目を持つので、ここで手を抜くことはできない。

 山だけでなく、そこに生える木々も貯水には重要だ。


 貯めた水が多ければ多いほど、山脈から流れる川は大きくなる。川が大きければ大きいほど、その下流への恵みも大きくなる。

 川が大きくなれば大雨で氾濫するといったリスクがあるが、作った山の規模から考えれば大きな被害が出るとは考えにくい。治水も併せて行うので特に問題は起きないだろう。

 まぁ、川の氾濫は地の恵みでもあるので防ぐ必要があるかどうかはまた後で考えるけど。



「それなら、先に川の流れを決めてしまえばいいのでは?」


 そうは言っても、どこからどこに川が流れるかは半ば運である。全ては完成してから考えた方がいいと思うのだ。

 「ここに川を通そう」と頑張った後に「やっぱり別の所を流れました」では、ダメージが大きい。無駄を減らす意味でも後の方が都合が良いのだ。


 それに、堤防などを作ると川の影響が制限される。出来れば天然自然のままがベストじゃないかと考えている。

 人工の山脈を作っている時点で今更かもしれないが。





 それにしても、山の緑化が順調で助かる。

 山脈の土台には繁殖力が強いミントの様な香草や蔦植物がびっしりと生えている。ここは牧草地ではないから、平地とは別の植物をメインに植えているのだ。

 多様な植生の方が俺に都合が良い。森からやっている植樹も順調で、これなら土砂災害も起きないだろう。


 うん、仕事は順調なんだよ。

 ただし。


「あ。お茶、如何ですか?」


 数人の侍女を引き連れた、俺の傍に侍る妹王女の扱いに困っているんだが。


 姉どころか今までの婚約者と違って俺との距離を詰める為、積極的に傍に来るのだ。

 他人の心遣いを無碍にする気はないし、年下の、10歳程度の娘さんに無思慮でセメントな対応をするのは肉体年齢14歳の俺でも駄目だと思う。常識的な相手だけに追い払う事も出来ず、こちらとしては戸惑うばかり。

 敵認定すれば年齢性別関係なく排除できるけど、それ以外に無闇矢鱈と力を振りかざす気は無いのだ。



 悪い子じゃないんだけどな。

 侍女を使って村の方の監視、狼煙の確認をするなど手を貸してくれてもいるし。


 それでも年下の女の子の扱いに慣れていない俺は、どうにもこの子を持て余してしまう。前世でもこの年頃の娘さんとは接点が無かったし。

 もっと小さい、小学校低学年ぐらいの子なら大丈夫なんだけど。持ち上げて振り回せば喜んでくれたし。いや、王女相手にそれは拙いか。


 誰か助けてくれ、本当に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ