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 子供が妊娠した時もそうだったが、産まれた時だって大きな商機だ。


「人の不幸は確かに商機になるけど、それ以上に人の幸せを商機にするのが一流の商人さ」


 サヴやヨカワヤはこれを機に、色々と俺達に子供関連グッズを売りつけていた。

 産まれるまでは渋り硬く締められていた財布の紐も、子供の可愛さにやられて紐を緩めてしまった親馬鹿候補がたくさん居た為、それなりに儲けが出たのではないだろうか?


 その分、奴らが買っていた酒の売れ行きが悪くなるかと言えばそうではない。

 祝いの酒という事で領主たる俺に売りつけ、皆に振る舞わせるので普段以上に酒も売れた。


 この、商売上手め。





 しかし、そんな彼女らも狼を飼う事までは予想できず、持ってきた商品、家畜用の鶏を抱えて苦笑した。


「襲われませんかねー?」


 鶏と言えば害獣にとって狙いやすい餌でしかない。

 狼たちは俺が餌を与えてはいるが、野生の本能からか狩りを好み、鶏たちが狙われる可能性が非常に高かった。


 言って聞かせる事もまだ(・・)難しいんじゃないだろうか?


「隔離した空間を作れば問題ないんじゃないか?」

「匂いの問題があるんだよ」


 当然、鶏は畜産センターで扱う事になる。

 村の、狼たちの住居からはそれなりに離れているが、それでも鶏の匂いを、美味しそうな匂いを狼が嗅ぎつける可能性は非常に高い。

 そうなれば襲いに行くだろうし、それを止めるのは難しい。


 狼たちには人間の言葉で話しかけているので、それなりに言葉を理解しつつある。

 だが、本能レベルの衝動を押さえつけられるかと聞かれると首を横に振る事になる。

 リーダーのいう事を何でも聞く犬ならいいんだろうけど、狼の群れ(ウルフパック)は序列の厳しさと違い意外と自由な行動を許す気質でもある。リーダーの仕事は基本方針の決定だけで、細かい制動が出来ないのだ。

 

「当面、壁だけで対処かな?」


 さすがに子狼では壁を――って、あ。


「この際だから、鶏小屋でも作るか。金網も付けて」


 猪や兎が放し飼いに近い状態だったから、思わず鶏も同じ様にと考えちゃったけど。

 別にプロイラーの如く狭い場所で大量に飼ってもいいのでは?


 地鶏のような高級鶏肉を目指すのであれば間違った選択肢だが、市販の卵の様に毎日の食卓を彩る卵料理を求めるなら、数を増やすことから進めるべきだと思う。

 それには狭い世界、小さな鶏小屋も間違った選択肢とは思わない。


 生産性や品質向上のためにたくさん卵を産む鶏を優先して増やすという考えも無いわけではない。

 しかし、それにはやはりサンプルがたくさん必要でもあるのだ。

 当面は何も考えず、ひたすら数を増やすことを優先しよう。

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