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起きない妹。by祐一

カーテンの中では、コードに繋がれた夏美が眠っていた。説明によると、特に異常は見られないらしい。ただただ意識が戻らないということだった。

いたずら好きで、子供の頃は何かとけしかけられては、びっくりさせられたことをふと思い出す。「はいはい。ご苦労さん。」と言って起き出すことを期待したが、静かなまま。


「お前のどこに価値がないんだよ?俺はいつも、お前のことが羨ましかったんだからな。」

反論を期待して言ってみたが、これも反応なし。こんなの夏美じゃない。

「おい。帰るぞ。」

手を握ってみたが、握り返すこともなく。

「祐一、どうしよう…。夏美ちゃんが逝っちゃう。」

いつの間にか祐一の隣に立っていた詠子に苛立ちを覚えた。

「さっきから、いい加減にしろよ。夏美の心配もせずに、そんなことばかり。だいたい、親父はなにやってんだよ!」

「こんな時間に…!って言うから、置いてきたのよ。」

「…!」

絶句して、母親を見たが、当然のような表情かおをしている。相変わらず過ぎて呆れた。

そりゃ親父の方が正しいかもしれない。夜になって一旦、帰されたのを、わざわざこんな時間に俺を巻き込んで押しかける母親の方がどうかしている。妹よ、こんな強烈な母親の下で、よく冷静に育ったものだ。

夏美、起きろよ。俺ら夫婦だけでは、両親の面倒を見きれないんだよ。お前の力が必要なんだよ。


「静かにしてください。こんなときにこんな場所で親子ゲンカなんて。」

振り返ると、義弟、つまり夏美の夫の富良野聡が立っていた。

「聡くん。日本にいたの?」

「知らせを受けて、夜の便で帰ってきたところです。」

そう。義弟はほとんど日本にいない。もともと海外出張が多かった上に、現在は中国に単身赴任をしているのだ。


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