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今度こそ帰らないとね。

「えらいことになってますやん。」

石津の声に、全員が映像を見上げる。なんだかんだ言って、まだほとりにいるのだ。

映像の中はといえば…。早朝、病院、集中治療室。大声を上げてはならない条件の揃った場所で、まさに“えらいこと”が繰り広げられている。四人で唖然として見上げていると、後ろから声が聞こえてきた。

「あらあら。私が叱りに行く必要もなさそうね。」

いつの間にか清子も駆けつけていた。

「おばあちゃん!」

「ひいばあちゃん!」

3人で清子に抱きつく。

「せっかくだから、やっぱり顔を見ておこうと思ってね。渡って来ちゃった。」

清子がいたずらっぽく微笑む。

「聡君、なかなかやるじゃない。さあさあ、今度こそ帰らないとね。聡君のためにも今のうちにお目覚めしてあげないと。」

清子の言葉に夏美がうなずく。

「じゃあ僕たちは、起きたらタクシーで病院に行くから。」

「私たちもおじいちゃんとおばあちゃんのこと、怒ってあげる!」

俊太郎と莉乃が目を合わせうなずく。

「おばあちゃん、石津さん、ありがとうございました。」

「どういたしまして。」

清子が微笑む。

「お嬢さん、幸せですなあ。エエご家族に恵まれて。ほな、お元気で。」

夏美の両脇で俊太郎と莉乃が、それぞれ夏美と手を繋ぐ。そして三人で元気よくお辞儀をした。

「ありがとうございました!」

ほとりから三人の姿が消えていった。


*****************************


「うるさいなぁ…。」

目を覚ますと開口一番、夏美が呟いた。

「夏美!?」

「夏美ちゃん!」

「おい、わかるか?」

“えらいこと”になっていた三人が口々に叫んだ。

「ここ、病院なんでしょ?静かにしてよ。」

「エ?」

無意識に「ここ、どこ?」を想定していたらしい三人は顔を見合わせる。

「三途の川のほとりで、石津さんに会ったよ。」

さらなる一言に唖然とする三人を尻目に、夏美はナースコールを押す。

「こういう時って、看護師さんとか主治医を呼ぶものなんでしょ?」

夏美のこういうところが、両親に依存された要因なのだろう。

「来てくれたんだね。」

夏美は聡に向き直り、微笑んだ。

「当たり前だろう。」

「仕事優先かと思ってた。」

「ごめん。全部、まかせっきりで。」

聡の目がほんのり赤くなった時、看護師と主治医がドヤドヤと入ってきた。

「富良野さん。…え…?起きてる。ご気分は?」

「いえ、これといっては…。」

話しているうちに勢いよくドアが開いた。

「お母さん!」

俊太郎と莉乃が入ってきた。

「良かったあ!」

莉乃が涙目ですがりつく。俊太郎もそばに立って涙目になっている。

俊太郎が意を決して延夫と詠子に向き直ると言った。

「おじいちゃん、おばあちゃん。お話があります。」

莉乃も並んで立ち、改まった。


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