自分の人生だからこそ。~その2~
「わては、今度は人間に生まれ変わられへんかもしれません。閻魔さん、怒ってはるだろうで。まあ、動物の方が、しがらみがなくて、エエとも思いますわ。」
石津がニカッと笑う。
─良いことを教えてあげます。閻魔様からの伝言でね、今回のお仕置きとして、石津さんは、人間に生まれ変わって、しがらみの中で修行して来なさい、ですって。フフフ…。
清子が笑って告げる。
「粋なお仕置きですな。」
─閻魔様とお茶を飲みながら、どんなお仕置きにしようか相談したのよ。寛大な方で気に入ったから、茶飲み友達になっちゃったわ。
「閻魔様、お母様、ありがとうございます。」
石津が空に向かってお礼を言うと、俊太郎が声を上げた。
「…あ、なんだこれ?」
見ると大きな煙のような塊が現れていて、中から画像が浮かび上がった。
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「夏美ちゃんがいなくなると困るの。祐一は頼りにならないし。ああ、どうしましょう!」
聡が病室の手前にさしかかったときに詠子の声が聞こえてきた。聡がツカツカと病室に入っていく。
「病室で大きな声を出さないでください。それに、夏美がいなくなると困るというのは、どういう意味ですか?」
「困るわよ。何かあった時に誰に相談するのよ?」
悪びれることもなく言う詠子に、聡が一喝した。
「夏美は、俺の嫁さんなんです。お義母さんの道具じゃないんです。お引き取りください。夏美が聞いたら悲しみます。」
「なっ…!」
病室で眠る夏美を目の前に、聡が詠子に怒っているのだ。普段の聡からは、想像のつかない場面だ。
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「何これ?」
「ご主人さん、やりますなあ。」
唖然とする夏美に、石津は笑顔を見せた。
「お嬢さんのために、外堀からの作戦のようですな。」
「え…?」
「迎えには来なくても、準備してはるんちゃいますか?話のわかる人ですな。」
「お父さんが、山川のおばあちゃんに怒ってる…。」
「意外だな…。」
子供たちも唖然として見ている。
「お母さん、帰ろう!私たちも、一緒に怒ってあげるから。」
「そうだよ。お母さんがガマンしなくていいんだよ。それに、まだ一緒にいて!たくさん叱られてもいいから、まだ…うっ…僕たちのそばに…いて…ください。」
俊太郎がガバッと土下座するとする莉乃もそれに倣った。
「お母さん…お…願い…。ヒック…、お願い…します!」
ーあらあら。こんな可愛い子たちにそんなことさせたら…。夏美ちゃん、幸せ者ね。さあ、仲良く帰りなさいな。




