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肩車の思い出。by莉乃

お母さんが倒れてから、まだ2日間も経っていないのに、とても長い時間に感じている。

学校を休んでずっとそばに居たいのに、お父さんがそうはさせてくれなかった。私だって心配なのにさぁ。「お母さんが知ったら悲しむよ。」って。

お父さんが単身赴任先から駆けつけて、つきっきりになっているけど、どうしてもっと以前まえからそうしなかったのか、不思議でたまらない。だからお母さんに「お父さんはお母さんのことなんて、どうでもいいのよ。」なんて言われるのに。

お父さんのことは好きだけど、幼稚園や学校の行事に滅多に行ってくれなかったから、小さい頃は、さみしさから、お父さんのことが気に入らなかったな。


行事の時には、お母さんがよく肩車してくれた。幼稚園も小学校も規模が大きかったので、写真を撮るにしても、一緒にお弁当を食べるにしても、離れている相手を見つけるのが大変だったのだ。

「莉乃、お兄ちゃんを探して。」

そう言って乗せられた肩の上からの視界はとてもワクワクした。片手はお母さんの手を握って、もう片方の手はお母さんの頭に添えて、広いグラウンドを見渡して、お兄ちゃんを探した。そして周りの先生の笑顔や、友達の羨ましそうな表情かおを見て、ちょっと得意げな気分だった。「肩車をするお母さん、珍しいですね。」なんて言われて、ちょっとびっくりしたのもこの時期だった。女の人は、あまり肩車をしないらしい。でも、私はお母さんの肩車が大好きだったし、自慢だった。

それでも、もしあの頃にお父さんが肩車をしてくれていたら、私は今よりも、お父さんのことが好きになっていたかもしれない。


お母さん、まだまだそばにいて。せめて、私があの肩車の高さの視界を手に入れるまで。ううん。せめて、私が肩車をしてあげるようになるまで。

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