明け方の電話
22年4月10日
母は腹痛を訴え父とかかりつけの病院へ向かった。
その病院では別の病院で検査をしてくるようにということで
指示された病院へ行き検査結果を持って戻った。
だが 特別異変は見つからず そのまま帰された。
午後になっても様態が変わらない母は病院に電話をした。
病院では薬を出すので取りに来るように。
との返事だったらしい。
夕方 症状が改善されないため また病院に出向いた。
かかりつけの医師は この段階で初めて総合病院を口に出した。
そのまま母は総合病院に向かったが
そこでは昼間と同じレントゲン・血液検査を行っただけで
痛み止めの点滴をしてくれただけで帰された。
深夜にタクシーで帰った母は 家に入るなり
「疲れた」と一言。
居間の椅子に腰かけたままだった。
その母が 椅子から滑るように床にうずくまってしまった。
その時父は
「そんなところに寝るな」と声をかけて
寝室まで引きずるようにして連れて行き布団の中に母を寝せた。
ウトウトしていた父が 母の状態を見に行ったとき。
母が死んでいることに気が付いた。
明け方電話が鳴った。
「こんな時間に なんだ~!?」と思いながら布団から出ると
電話の音が止んだ。
迷惑な電話だ・・・と思いながら
もう一度寝ようと戻りかけたとき
電話が また鳴った。
出ると相手は父だった。
「ばぁ~ちゃんが死んでる。」
私の眠気も その一言で吹き飛んだが
頭の一部では それを否定していた。
「すぐ 来てくれないか?」
父は それだけ言って電話を切った。
母は布団の中で冷たくなりかかっていた。
死んでいるとは解っていたけど救急車を呼んだ。
それから地元の警察に連絡が行き。
検察医が 明け方にもかかわらず来てくれるということで
母は警察に連れて行かれることもなく
自宅で死亡診断を受けられた。
自宅で死んだ場合 他殺性がなく病死の場合。
心筋梗塞か脳梗塞の二つに一つ。
どちらかと診断されることになるらしい。
母は 心筋梗塞と診断された。
ただ・・タクシーで帰宅し椅子に座った直後
椅子から滑り落ちたときに死亡していたらしい。
父は 死んでいる母を布団に運んだことになる。
たった今 歩いて帰ってきた母が 死んだ。
と父は 考えられなかったようだ。