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やるせなき心のために

 畳の数を数えるのも馬鹿馬鹿しくなる広い座敷で、孫(予定)は祖母の訪れを待っていた。

 無論、一人ではない。本邸へも先導した、自分付きの使用人が廊下に控えている。

 しかし彼女はいつもの保育士然ぜんとしたほがらかさをぎ落とし、孫(予定)の緊張を解くこともなく、能面のような無表情を貫いて、文字通り控えていた。

 まるでよく似た別人のように。--あるいは真の姿を現したのか。

 乱れる呼吸を整えながら、孫(予定)は頭の中で、ひたすら思考をめぐらせていた。


 すると指定の時間に到ったのだろう、使用人が、坊ちゃま、と小さく呼びかけ、

「御当主のおりにございます」

祖母の到着を告げていた。

 けれど呼びかけた声の後半は、まったく温度が感じられない。

 そのことで、現在の使用人の主人は孫(予想)ではなく、祖母であること。

 同時にこの場における最高権力者である祖母へ礼を尽くすよう、うながされたことを察した孫(予定)は、教わった通りに頭を下げ、ほどなく訪れた白檀びゃくだんの香りに、祖母の到着を感じ取った。

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