表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/60

父親との思い出に、ひっそりと暮らすことなど許されない

 父親が死んだ後は……周囲の思惑のまま、まるで道端の石のように転がされ続けた。


 葬儀が終わって間もなく、母方の実家から迎えが来た。

 後から聞いた話では、そもそもオレが住んでいた家は父方の実家が結婚祝いとして建てたもので、名義も会社のものだったという。ならば閑職かんしょくに追いやられたとはいえ、社員だった父親が亡くなれば退去するのは当然のことだろう。

 けれど幼かったオレにとって、家を出ることは自分の状況を知らされる、最初にして最大の衝撃だった。

 いかに父親が帰る日がこなかろうと、思い出は隅々に残っている。

 その家にもう居られないのだ。

 父親との思い出を胸に、母親と二人、ひっそりと暮らすことなど許されない。

 オレはそう突きつけられた気がしたし、それは父親の死後、茫然自失状態の母親も同じだったと思う。

 これから再会する祖父母は、以前の祖父母と違うのだ。

 もう二度と、とろけきった顔を向けられることはないのだろう。

 だからこそオレは抜け殻と化していた母親の手を取り、迎えの車に乗った。

 差し向けられた人間に言われがまま、遠い母方の実家へ身を寄せたのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ