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「私用じゃ」

 時間の流れに手を加えると反動が来る。

 それは人命に関わる大きなことから小さな事故まで様々だ。

 今のところ真砂に関わる者で時間の流れに干渉するのは、あの孫息子(予定)だけであり、同時に反動が来るのも孫息子(予定)だけだ。

 ……正確にいうなら孫息子(予定)を見かねた真砂と、本人の二人だけであったが。

 よって世界の再構成に立ち会うという、とんでもない事態に立ち会った時も、孫息子(予定)の干渉による反動が来たのだな、と身体にかかる激痛の中で真砂は意識を保てたのだが。

「……どしたの」

 その体、と登校した高校の教室で、しかめ面の友人に開口一番唸るように問われた真砂は、表情を取り繕うことなく苦笑した。

 日本舞踊の舞手であるしづかは、芸術家ならではの直感から、全てを見抜く時がある。

 煙にもまけず嘘も通用しない相手であるため、真砂は正直に話すことにした。

「私用じゃ」

「また?」

 最近の真砂の無茶はほとんど「私用」が原因だ。

 一度決めたら何を言われても引きはしない。そんな真砂の性格を理解しても納得はしないしづかは、嫌そうに眉を寄せると、横を向いて大きく舌を打った。

「しづかさん」

 お行儀が良くありませんわ、ともう一人の友人は柔らかくたしなめ、朝の挨拶を交わした。

「おはようございます、真砂さん」

「おはよう」

 にこにこと微笑むときこは、さりげなくしづかの隣の席に座った。

 しづかが座る真砂の前の席も、ときこが座る真砂の斜め前の席も、それぞれの席の主は友人のところで話しているから空いてはいるが、真砂には仮に席の主が在席してもこの二人がこの席に陣取ることがわかっていた。

 それほどにこの二人は自分の無茶を怒り、諭し、何をしているのかを明かす気なのだ。

 さらにいえば、この二人の歯止め役となれるもう一人の友人は、日直のため教室に戻っていなかった。

 これは長くなる。

 危ぶむ雲行きを悟った真砂は大人しく覚悟を決め、せめて中学時代のてつを踏まないよう、傍目はためだけでも何も変わらないように見せかけたのだった。

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