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「うむ。仮面ヤ○バーとアク○ョン仮面のグッズじゃ」

 やがてきたる春を思う。

 今の時期を思春期とはよく言ったものだ。

 そんな感慨をしみじみ抱くほど、真砂の十代はよく悩んだ。

 まあ誰でもそうだと言われればその通りかもしれないが、とにかく一族の存亡を賭ける重大ことから真砂個人の些細なことまで、本当にあれこれ悩んでいる間に月日が過ぎた。

 一番手近なところだと、ここでの馴染みな孫息子(予定)に尽きる。

 (予定)が付いているとはいえ、自分の孫とどう付き合えば良いのか?

 そんな真砂の問い掛けに大いに戸惑いつつも、友人たちは答えてくれた。

 いわく、モノで釣れ、と。

 よって始めに最初に聞いた答えである、

「コーラ、オレンジジュース、出す、OK?」

という片言でも真意が伝わる友人の助言に従って、飲み物を用意し出してみたところ、なぜか怒られた。

 何故だろう。


 ならば次と二番目に聞いた答えに従い、

「そうね、男の子なら電車の模型とか、ミニカーなどが喜ばれると思いますわ」

百貨店に用意させた品物を渡してみたたところ、今度は呆れられた。

 さて、何が悪かったのやら。

 傍目はためはともかく大いに内心首を傾げた真砂は考えた末、孫(予定)がモノに釣られるわけではない、すなわち友人たちの言う一般論の通用しない相手だと判断。なるほど「お客さん」というのは難しい存在なのだな、と一族内での一族論にも納得した。

 それと同時に、孫(予定)とは地道に関係を模索することに定め、じりじりと微妙ながらも付き合いを深め、最近では、孫という名の宝物、とうなる歌声にうんうんと相槌あいづちを打つまでに至ったのだが。

 真砂、16歳。

「……祖母ちゃん、何だよコレ」

「うむ。仮面ヤイ○ーとアクシ○ン仮面のグッズじゃ」

 これなら喜ばれるに違いないと太鼓判を押されてのう、と誰に推されたのかご満悦な真砂に対し、だからオレはもうそういう年頃じゃないってずっと言ってんだろー、と孫息子(予定)は肩を落として哀愁に浸って嘆いていたりした。

 だが、孫息子(予定)とて即座に叩き返していないところをみると、結構うまくいっているのかもしれない二人だった。

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