表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/55

罠!

お待たせしました、緋絽です!

久しぶりで書き方を忘れました(・∀・)


剣を持った男は人のいい笑みを浮かべて俺達を案内し始めた。

「いやー、親切な人がいて助かったな!」

秋弥がニコニコ笑いながら言う。

「そうだな。野宿を免れられてよかった」

フードの裾を摘んでそう返した。

「明日には村に帰るんだろう?」

夕花がシリティアに聞く。

「そうよ。荷物、忘れないようにしなくちゃ」

「でも王都ってすごいねぇ。都会ってカンジ」

紅葉が思い出して感心したように頷きながら言った。

「まぁ、実際中央都市なんじゃね?王様が暮らしてるんだしさ」

「ここからその宿までどのくらいかかるんだ?」

夕花が男に尋ねた。

「もう少し先だ。この時間まで開いてる宿となると、もう王都の外れに行かなきゃないんでな」

「いえ、すみません。わざわざ案内していただいて」

あーもうほんとに。まじありがたいっす。

そこでふと、ヨイチが黙りっぱなしなことに気が付いた。

「ヨイチ?どうした?」

考え込んでいたヨイチがハッと顔を上げる。

「いや。別に」

若干目を逸らして答える。

こいつ。なんか隠してんな?

「いーやっ、なんか隠してる!言ってみろ!」

ヨイチがギョッとした顔をした。

そしてシリティアの方を見て、また俺を見直す。

「……他の誰にも言うなよ?」

囁き声に話しづらいことなのかとちょっと身を寄せる。

「言うなよ!?」

「わーかった、わかったからっ。ほら、早く」

催促すると渋々そうに体を寄せてきた。

「……なんでこの人、僕らがワケアリだと思ったんだろう?」

「え?そりゃフード被ってたからだろ」

何を今更。フード被って街中歩いてたら底抜けに怪しいじゃないか。

「何言ってるんだヒロト。フード被ってる人なんて街中にたくさんいたじゃないか。旅人とか、特別な身分の方はフード被って顔隠すのがほとんどだろ」

「そうなの!?」

いや、待てよ。そういやさっきからフードの人ちょいちょいいたな。

「はーなるほど 」

もとの世界にはない感覚だな。

ヨイチが険しい顔で俺の顔を覗き込む。正確には、俺の目を。

しばらく無言で見つめて、男にチラッと視線を向ける。

「………思い過ごしだといいけど」

「へ?」

「いや、………ヒロト達、気をつけといた方がいいかも」

「え、あ」

ヒロト達ってことは───俺達の目か!

バレた!?んなわけあるか!?だって、フード被ってて見えづらいはずだ。

“はず”だから、確実じゃないのか!?

一気に体の芯が冷える。

固い表情をしていたのかヨイチが俺を見て溜息を吐いた。

「あくまでも、もしかしたらだからな。警戒しすぎるなよ」

「あ、あぁ」



「───さぁ、着いたぞ」

男が立ち止まったのは先程から10分ほど歩いてからだった。

「ここ…?」

小さめの普通の民家ほどの大きさだ。

「家族が巣立ちして部屋が余ったんで、宿屋やってんだ」

「へぇー」

シリティアが物珍しそうに宿を見回す。

「いい感じね」

「シリティア是非僕と同じ部屋にグフッ」

「「うるさい」」

ふざけたことを言ったヨイチを紅葉と夕花がぶっ飛ばす。

お、おおふ。

何気にシリティアが2人に苦笑してるからな?

「ヨイチバッカでー!」

「うるさいぞ秋弥!」

ヨイチが噛みつくように言い返した。

しかし、と宿に目を向ける。

外観だけならまったく怪しくない。普通の宿だ。

考えすぎだったか?

「ま、とりあえず入れ」

男がドアを開けて促してくる。

それに従って中に踏み込んだ。

いざとなればヨイチもいるし、この髪と目もあるから大丈夫だろう───そんなことを、呑気に考えながら。

前にいた夕花に男の手が伸びたのを見て───咄嗟に体が動いた。

夕花の腕を後ろから掴んで勢い任せに引っ張る。入れ代わるように自分の体が前に飛び出したところで、強く喉を殴られた。

「ぐ…っ!」

「紘斗!」

夕花の驚いたような声が聞こえたが、男に後ろから喉を腕で締められて返事を返せない。

「おっと、動くなよ」

動こうとしたヨイチが固まる。

「売れそうな奴が、1、2、3…」

1人ずつ指していって最後に俺にたどり着く。

「ハハッ、6!しばらくは金に困んねーな」

「紘斗を離せ!」

「うるせぇ命令できる立場か?全員手を挙げて前に並べ」

悔しそうに全員が従う。

なんか、なんかないか。

ポケットを弄る。ライターがある。

でも、この距離でライターを着けたら俺にも燃え移るかもしんないし、下手したらこの人死ぬし。

殺したくはない。

必死に目線を下げて何か探していたら、剣が目に入った。

男はまだ腰に下げている。

とるなら今の内───。

バッと手を伸ばして男の剣の柄を掴んだ。

「なっ…」

抜き取って柄を男の腹に叩き込んだ。

「うぐっ」

男の手が緩んだ。

その隙に逃れようとしてハデに転ける。

足を引っ掛けられた。

「紘斗!」

「こいつ!」

頭を掴まれフードが脱げる。

皆から悲鳴が上がった。

やば───。

肩を掴まれ乱暴に上を向かされる。

男が拳を振り上げた。

うわやべぇ、超たこ殴られる!

そこで一瞬男が俺の目を見て怯んだ。

でも向かってくる拳に衝撃を覚悟して目を閉じる。

「止まれ!」

空気を裂くような鋭い声が室内に響く。

驚いて目を開けると、やけに立派な服を着た男が顔を険しくして立っていた。

だ、誰?誰でもいいや助かった!

男が目を細める。

拳を振り上げていた男が顔を蒼白にして後ずさった。

俺はゆっくり体を起こす。

「誘拐及び、人身売買未遂の現行犯で、城まで連行する!」

鋭い声が再び部屋を貫いた。

うん、かっこいいけどさ。





あんた誰なんだよ!





新しくリレー小説始めました。

『30 minutes』と言います。興味をもたれましたら是非覗きにいってやってください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ