ここはどこだ
プー太です。
自分が(自主作成も含めて)小説を書くのが久しぶりなので少し緊張します。
ピチョン――と小さな音を立てて水滴が一粒頬に落ちてきたことにより、僕の意識はゆっくりと浮上してきた。
背後からゲラゲラと野太い笑い声が聞こえる。声質からしてもシューヤたちのものではない。
うっすらと重たい瞼を持ち上げると、視界は火が灯してあるようで明るい。
肌寒さを感じる空気に、少し湿った凹凸の激しい地面。体は紐のような物で拘束されている。
――ここはどこだ。なぜ僕はこんな所にいるんだ。
思考を巡らせて記憶を想起する。
……そうだ、ここは洞窟の中だ。気絶する前に誰かに腹を殴られて……そのままここに移動させられたのか。
結論を導き出したところでふとシューヤたちのことが頭に浮かんだ。
どれくらい気絶していたのかは分からないが、きっともう彼らはここに突入している頃に違いない。
「コイツにまた会えるなんざ思ってもなかったぜ。一発食らわしてやりたくてウズウズしてたんだ」
「お前もガキだな。まだそんなこと思ってたのかよ」
どうやら僕を拉致した犯人は複数いるようで、歌声や話し声が聞こえる。
歌声は男のわりに綺麗で、洞窟の外で耳にしたものと酷似していた。
七不思議の謎は解明したが――会話の内容がどうもひっかかる。
「思うに決まってるさ。あの時の嬢ちゃんの別嬪ぶりは想像以上だったんだからな。確か名前はシリティヤだったような…」
「名前まで覚えてるなんかそうとうだな、ガハハッ」
この起伏の激しい声はいつか聞いたことがある気がする。
シリティアの名前の登場によってそれはすぐに確信へと変わる。
僕がシリティアのボディーガードをしていた時に撃退した山賊の大男だ。だとすれば話がつながる。
――頼む、どうかシリティアだけは来ないでくれ。
目をつむって切に願った。
「けどよ、あの時俺も怪我したわけじゃないのにこれはやりすぎだったな。殴って気絶するのって当たり所が悪かったからなのか?随分経つが目を覚まさないぜコイツ」
「心配性な性格直せって。ほっときゃ勝手に起きるだろ」
何気に良い奴だと発覚!
脱力して無意識に脚を動かしてしまった。運悪く石を蹴ってしまい、音が鳴る。
冷や汗を垂らしながらも息を殺してじっとしていると、どうやら気付かれなかったようで息をのむ。
いつまでもこうしているわけにもいかない。逃げる策を考えないと。
悶々としていると、どこからか地響きのような低い音が洞窟中に木霊した。
「おい、誰か来たぞ!」
意外に良い奴だった大男の声で一斉に足音が遠ざかっていく。
全員が行ったようで、この隙に紐から逃れようと身をよじる。
腕に走る激痛奥歯を噛み締めて耐え、なんとか健側の腕を抜き、立ち上がってゆるんだ紐を落として走る。
どうか無事でいてくれと願った途端、足が泥濘に嵌り、顔から地面にダイブした。
「くそっ」
悔しさと情けなさに襲われる。だが、こんな所で立ち止まっている場合ではない。
泥を振り払って再び走り始めた。
gdgd万歳!とでもいいましょうか←
緋絽さん、次お願いします。
すいません。