もしかしてピンチ?
三番手の秋雨です!
秋弥目線ですので悪しからず。
奴………ってなんだ?
壁に耳を当てて村人の声を聞く。
「女子供を避難させろ!」
「早く逃げろ!」
奴がなにかはわからないが、ヤバイのはわかった。雰囲気からして明らかにやばいし。
「オレらも早く逃げようぜ」
「まずここから出ないと駄目だろ」
夕花が言うことにも一理あるな。
「壁突き破るか。いいものあるし」
紘斗が持っていたのは鍬。
それを振りかぶって壁を壊した。
「「おおー」」
称賛の拍手を送って現状を確認。
目の前には逃げ惑う村人達とそれを追いかけるでっかい猫。
でっかい猫がこっちに気づいた。
これ、ヤバくね?
「――――――!」
鳴く……じゃなくて叫んだあとこっちに向かって走ってきた。
「逃げるぞ!」
「言われなくても!」
夕花と紘斗に続いて走る。
でっかい猫との追いかけっこ。猫が小さかったら楽しいのに。あれだからなぁ。
とか考えてたら追い詰められてた。
「どうするんだ?このままだと喰われてしまうぞ」
「どうするって言われてもな……」
「なんかないかなー」
ポケットの中を探る。
指に冷たいものが当たった。
ライターだ。
ライターか。ライター、ライター………。あ、そうだ。
「燃えるものーっと」
近くにあった枝とかを適当に集めて火をつける。「あー、暖けー」
「いや、何してんだよ」「……たき火」
「確かに暖かいな」「夕花まで……」
とか言いながら紘斗もあたっている。
でっかい猫の反応は?
こっちに来たいけど来れないって感じだ。
作戦成功。
いくらでかくても動物だから火は苦手だろ?
たき火に入れてた枝を掴んでデカ猫に投げる。一瞬ビクッとしたがすぐに避ける。
火は宙を舞ってる間に消えてるから怯えなくてもいいのに。
もう一度投げるとやっぱり避ける。
あ、なんか楽しい。
「あたしも混ぜろ」
「俺も」
夕花と紘斗が加わって投げるスピードが上がる。そうするとデカ猫が逃げるスピードも上がる。
第三者から見たらどうなってるかな。
その状態がしばらく続き、腕が痛くなってきた。「そろそろやめるか」
「だな。腕痛いし」枝を束にする。
さっきよりも火の勢いが強い。
それを持ってデカ猫に近づく。
オレが近づく度にデカ猫はそのぶん下がる。
じりじりとデカ猫を森に追い込んでいく。
根気がいるな、これ。
森まであと数メートル。
……もういいか。
「うらぁ!」
持ってた枝の束をデカ猫に向かって投げる。今度は火は消えなかった。
適当に投げた枝の束はデカ猫の右足に直撃。
「――――――――!」声にならない悲鳴をあげて逃げていった。
地面に落ちた枝はまだ火がついていて、草に燃え移ろうとしていた。
やっば!
慌てて火を踏む。
……よし、鎮火した。
「うおおおおおお!!」いきなりの雄叫び。
叫んだのは村人達だった。
次は始めに戻って緋絽さん!
がんばってー。