久しぶり
今回はベストタイミングで回ってきて嬉しいです。
丁度テスト明けだったので。
余談はこのくらいにして、今回も書かせていただきます。
プー太です。
シューヤとヒロトの待つ村長の家――麗しのシリティアの自宅だ――に向かう道中、僕は斜め前を歩くシリティアの可憐な後ろ姿を見つめながら、心の中で彼女の名前を呟いた。
それが聞こえたのかどうかは定かではないが、彼女は赤毛を揺らしてこちらに振り向いた。
「さっきからジロジロ見すぎなのよ。シャキシャキ歩きなさい、ヨイチのくせに」
「え……それって君の隣を歩いてもいいって誘ってくれてるの?」
「ち、違う!断じてそんなことはないわ!」
頬をピンク色に染めて顔を首が千切れんばかりに振る彼女。
即座に顔を前に向けられてしまったのは残念だったが――可愛いかったなあ。
約4日振りに会ったシリティアはとても新鮮で、浮足立つ心を抑えるので精一杯だ。
今にも垂れてきそうな鼻血を吸い上げて、歩く速度を上げた。
歩くことで振動して痛みが走る片腕を不自然に見えないように動かしながら。
「帰ったぞ……っていない。紘斗、秋弥、どこだ」
あれから10分ほど歩くと目的地に到着した。
だが、そこに男二人の姿は無かった。
ユーカの反応からして何かが可笑しい。
まるで二人が忽然姿を消してしまったと言いたげな焦った表情を浮かべていた。
床には陶器が割れて破片が散乱していて、何者かが争った形跡もある。
「誰がこんなことを」
まさか、これはシリティアのストーカーが家に押し入って暴れまわったのか?
「ヨイチ、考えてること全部口から出てるよ。それにこれは秋弥がやったと思うの。強盗じゃないよ」
「なんて奴だ。シリティアの私物かもしれない陶器を割るなんて!」
「お皿なんてまだ何枚もあるから気にしないわ、別に。けど……この足跡が気になるわね」
いつになく落ち着き払った声で言って床を指差す彼女の美しい指の先を見ると、この家の住民にしては小さすぎるサイズの足跡が絨毯に付いていた。
しかも、一つではない。ざっと目で確認して最低でも3人はいる。
「――これは大きさからして子供だね。流石シリティア!君は天才だ、こんな処にまで気がつくなんて……どうか僕のお嫁さんになってくれないか」
「「場を弁えろ(て)」」
左からユーカ、右からはクレハのビンタが飛び交う。(ユーカは正しくは拳だった)
鉄槌を食らってジンジンと痛む両頬を擦りながら推理を続けた。
「村の人が履く靴の裏の模様とよく似ているから、ここに来たのは村の子どもたちで間違いないことは確かだよ」
「そんなのはどうでもいい。あいつ等には留守番を頼んだんだ。――広場で遊んでいてみろ……絞めてやる」
踵を返して家を出て行ったユーカを追うようにクレハとシリティアも駆けて行く。
一人出遅れた僕は床に散乱した陶器を見た。
――シリティアが使った(かもしれない)陶器は貴重だ。頂戴すべきか否か。
少しの間悩んで、
「今日はいいか……」
僕も3人の後を追った。
なんか微妙。
果てしなく微妙。
すいません、緋絽さん。
続き…いや、次もおねがいします。