ベンタス克服しますか。
紅です。
相変わらず緊張します。
そして相変わらずの駄文です。
翌日・ベンタス小屋。
「むっ、無理っ……!」
シリティアは私と夕花の服を掴みながら、私達の後ろに隠れる。
「シリティアー、ベンタスに乗れたらかっこいいよ?」
「そうだぞ、シリティア。というより、乗れないとダメだろ。」
私と夕花は、シリティアにベンタスに乗るよう、促してみる。
「シリティアがベンタスに乗れたら、かっこいいだけじゃない!
かっこよさと同時に、かわいさもにじみ出てそれはもう魅力が」
『黙れ。』
私とヨイチ以外の人が、一斉にヨイチへ冷たい一言を言い放った。
「シリティアに命令されるのはいい……むしろ快感だ。
しかしお前らに命令されるのは気がくわない!」
『はいはい。』
またもや冷たくあしらわれるヨイチ。
――どうしてこんなに不憫な人なんだろう……。
――3時間後。
「無理無理無理!」
なんとかベンタスに乗れるようになったシリティアだけど、なかなか乗りこなせないまま、現在に至る。
「大丈夫だシリティア!
ベンタスに乗れているんだ!
あとは進ませるだけだ!」
「シリティア、軽く蹴るんだ!軽くだぞ!」
紘斗と秋弥がシリティアを応援している。
私と夕花はヨイチがシリティアに近づかないよう、見張っている。
夕花がいるせいか、ヨイチが少し小さく見える。
「きゃあぁぁぁぁ!」
『シリティアー!』
そしてシリティアの悲鳴と2人の叫び声が聞こえた。
駆け出すヨイチを私達は必死に抑える。
「はぁ……なんでこうもお前は学習しないんだ?」
夕花は呆れた口調でそう言った。
愛は盲目とは言うけれど……ね。
「…シリティアを愛しているから。
それだけだ。」
いつになく真剣な声色で、ヨイチはそう言った。
「ん?お前らしくないことを言うな。」
夕花は驚きを見せる。
それは私も同じだった。
こんな真面目なヨイチを見るのは、初めてだ。
「おぉ!シリティアー!」
「やっと……やっと乗れたな!」
「べっ別に嬉しいとか思ってないんだから……っ。」
素直になれないシリティアを見て、微笑むヨイチ。
そんなヨイチの表情には幸せが溢れ出ていた。
「だからシリティアだけは守り通したいんだ。」
なんかヨイチがかっこいい!
真面目ヨイチ、激レアすぎる!
そんなヨイチに言いたいことは山ほどあるのに……
『…………。』
私達は言葉が出てこなかった。
一方的に押し付けられている愛だけど、こんなに想われているシリティアは幸せ……
「あぁ、シリティアおめでとう!
今の君は以前より輝きを増して、
とても綺麗で魅力的だよ!
この美しさは罪だ!
だから僕と結婚してください!」
「うるさいわよ!黙りなさい!
そして無理やり結婚の話に持ち込まないで!
どこの誰があんたと結婚するような関係なわけ?」
……じゃ、ないのかもしれない。
……ヨイチかっこいいのか?
とりあえずごめんなさい!
プー太さん、よろしくです!