ベンタスに乗ろう!
遅くなってすみません
秋雨です!
今日も今日とてベンタス小屋へ。
初めて小屋掃除をしたときからずっと来ている。
と言っても二日しか経ってないけどな。
「あー、ベンタスいいなー」
「あれを乗りこなせたらスゲェよなー」
「なんだ、ベンタスに乗りたいのか?」
ボソッと言ったのがカウジェに聞こえてたみたいだ。
「あれに乗りたいの!?」
少し離れた所で夕花と紅葉の後ろに隠れているシリティアが信じられないみたいな顔してる。
オレはベンタスが嫌いなお前が信じられない。
「ああ、怯えてるシリティアも可愛いよ!」
ヨイチがシリティアに飛びつこうとして夕花に殺られていた。
そのあとカウジェがどっかに放り投げた。
なんというコンビネーション。
そしてヨイチ。学習しろよ。
「さて、何の話だったか……」
「ベンタスベンタス!」
「ああ、そうだったな。乗りたいなら乗ってもいいぞ」
「本当ですか!?」
「サンキュー、カウジェ!」
心優しいカウジェがベンタスを二頭連れて来てくれた。
「ベンタスを乗りこなすのはコツがいるからな。まあ、頑張れよ」
「教えてくれねぇの?」
「技術は盗むものだ」
無駄にカッコいいことを言い残してカウジェは消えた(ベンタス乗りに行っただけ)。
「とりあえず乗ってみるか」
「だな」
首に繋いである手綱を掴んで背中に飛び乗る。
「………お?」
意外に大丈夫?
紘斗は乗るのに苦戦している。
飛び乗れば簡単なのに。
乗ったのはいいけど、ここで問題が。
「どうやったら進むんだ?」
手綱を引っ張ればいいのか?
引っ張るとベンタスが苦しそうな声を出すだけ。
さあどうしよう。
「シリティア、隠れるなら僕の後ろにおいで!」
おっと、後ろからいなくなったはずの奴の声が聞こえる。
……ん?ヨイチって確かベンタス乗りこなしてたような………。
「ヨイチー、ちょっと来てくれー!」
「僕はシリティア乗り頼み以外聞かない!」
「いいから行ってきなさいよ!」
「はーい!」
恐ろしいほどシリティアに従順だな……。
シリティアは怒りすぎでツンの欠片もないし。
「で、何?」
明らかに態度が違う。
教えてくれるか心配だな……。
「ベンタスってどうやったら動くんだ?」
「ベンタス?それなら腹を軽く蹴れば……」
意外にも素直に答えてくれた。
「サンキュー」
軽く、軽く。
意識しながら蹴ってみる。
するとベンタスはゆっくりと歩きだした。
「う、動いた!ベンタス動いた!」
「きゃあっ!こっち来ないでよ!」
夕花達の方に行ったらシリティアに逃げられた。
「待て、シリティア。ベンタスは移動手段なんだろう?克服しないと遠いところに行けないぞ」
「それはそうだけど……」
「シリティアと買い物とかしたかったなー……」
「そういう訳だ、行ってこい」
夕花と紅葉に押されながらシリティアはベンタスに近付く。
「…………やっぱり無理!」
「そんなシリティアもかわいぐふっ!」
最後まで言わずにヨイチは紘斗が操るベンタスに蹴り飛ばされた。
シリティアのベンタス嫌いは治らねぇのか?
次は紅さん!
ファイト!