シリティアの依頼
秋雨です!
「ひーまー……」
暇すぎるから部屋の中をゴロゴロ転がる。
「秋弥止めろ。危ない」
「うえーい……」
紘斗に止められて止まるが、やっぱり暇。暇なもんは暇なんだ。暇ー暇ー。
「そうだ、夕花のとこに行こう」
「唐突だな」
よし行こう。さあ行こう。
「ゆーうかー!」
「なんだ?」
ドアを壊す勢いで開けたのに平然と本を読んでいた。
代わりに紅葉が驚いたけど。
「何か用か?」
「用はない!けど来た!」
そう言ったら呆れた顔をされた。
「紘斗はどうした?」
「ここにいるぞ」
「用件は?」
「ない」
お前もか……みたいな顔になる。
「暇だったんだよー」
「そうか」
……遊びに行こうかな。
結局外に行かずに部屋にいると、シリティアが戻ってきた。
「あら、皆いるのね」
「おー、お帰りー」
「あ、………」
何か言おうとしたシリティアが言い淀む。
「どうした?」
「……ねぇ、依頼してもいいかしら。べっ、別に困ってるんじゃないんだからねっ!」
困ってるから依頼するんじゃないのか?
「ああ、そのための万事屋だからな」
それを聞いたら安心したような顔になった。
「あの、万事屋って何?」
紅葉がおずおずと手をあげる。
「ああ、そういえば説明してなかったな」
「万事屋っていうのは俺達が結成したなんでも屋だ」
「名前の通り依頼されればなんでもするぜ!」
「なんでも屋か……」
「紅葉もやるか?」
「えっ、いいの?」
「もちろんだ。いいだろう?」
首だけ動かして夕花がこっちを見る。
「俺もいいぞ」
「オレも。人数が多いほうが楽しいしな」
「これで紅葉も仲間だ。これからよろしくな」
夕花が紅葉に手を差し出す。
「えっと、よろしくお願いします」
紅葉はその手をしっかりと掴んだ。
「……ねぇ、依頼してくれるの?べっ、別に寂しくてしゃべったんじゃないんだからねっ!」
ごめん、シリティア。
目に光るものが溜まってるぞ。
「ごめんな、シリティア。それで、どんな依頼なんだ?」
「それが、………」
「ストーカー!?」
「しーっ!どこにいるかわかんないんだから!」
息、息が!
大声だしたのは謝るから口塞ぐな!
オレの祈りが通じたのか、シリティアが手を離してくれた。
オレ、生きてる?
「とにかく、そのストーカーをなんとかしてほしいの」
「シリティアならストーカーくらいなんともないと思うけどな」
「そうなんだけど、何もしてこないからこっちも手を出せなくて……」
ストーカーか。
「どうにかしてくれないかしら」
「その依頼、引き受けた」
「ストーカーを撃退すればいいんだろ?」
「そのくらいなら簡単だ」
「出来る範囲で頑張ります!」
「頼んだわよ」
「「「「了解!」」」」
その時、誰かに見られている気がした。
例のストーカーか?
次は紅さん!
よろしくー。