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近づいていくにつれて人の密度が増していく中を、オーリ君は器用に他の人を避けながら進んでいく。先にオーリ君に気づいて道を空けてくれる人もいないではないけど、皆さんなにかに気を取られていて周りへの注意が疎か気味になっている感じだ。
いよいよ密集度が上がりここからは間をすり抜けていくの無理では……?というタイミングで、ジルドナート青年が後ろから誰かに大声で呼びかけた。
「おーい、ゼーネ! クルト・ゼーネ!!」
ジルドナート青年の声でその場にいた人たちの多くが振り向いた。これだとこの中の誰がクルト・ゼーネさんという人なのかはちょっと判断できない。
それはともかく、ジルドナート青年の大声に反応して振り向いた人たちはオーリ君の姿に気づくことになるわけで、オーリ君の前方にいた人たちが素早く動いてスペースを空け、あっという間に道が出来上がった。すごい、身分パワーか役職パワーか知らないけど、めちゃくちゃ気遣われてる。
すっと前に進んだオーリ君は、三十代半ばくらいに見える一人の男性に声をかけた。男性は、お腹くらいまでの高さがある四角い柱だか一風変わったデザインのテーブルだか、そういう形の石でできたオブジェのそばに立っている。
「クルト・ゼーネ゠オライセン?」
「ベオラード・オーリ様」
そう言って頭を下げるこの人が、ジルドナート青年が呼びかけたクルト・ゼーネさんであるらしい。
「はい、ギルド《緑なす泉》の代表を務める、クルト・ゼーネ゠オライセンにございます」
「いまは《緑なす泉》が管理に当たっているのですか」
オーリ君の他人に対する話し方、目下っぽい相手に対して語尾が丁寧になるときとならないときの違いってなんだろーと少し疑問に思ってたんだけど、もしかして相手の年齢だろうか。二十代半ば~後半だと相手によって丁寧語になったりならなかったりで、三十前後より上だとほぼ全員に対して丁寧語、かなあ。お城のメイドさんたちにはわたしが見た限りではみんな丁寧語対応だったし、そんな感じっぽい気がする。
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