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スルフェルのときはどこから飛んでくるのかわからない様子であちこち見回す人がわりと多かったけど、今度の騎士団のほうはどの辺りを通過するのか皆さんだいたい把握しているらしく、概ね同じ方向に視線を向けている。いつもの通り道的な決まったルートがあるっぽい感じだ。
そして皆さん顔の角度はしっかり上向き加減です。
これはあれですね、騎士団の移動手段、馬じゃないやつですね。具体的には昨日ラシェト卿たちのところに行ったときに頭上でばっさばっさやってた生き物、あれでしょー。
街中を移動するなら馬より空を飛べる生き物のほうが通行人を気にする必要なくていろいろ楽というのはわかるけど、馬に騎乗する(わたしの感覚では)普通の騎士ってもしかして存在してない? それとも空飛ぶ生き物に乗る勢とは別にちゃんと馬に跨がる騎士もいるの? 馬自体はちゃんと存在して荷馬車牽いてるのを見たから、乗用の馬もたぶんいるとは思うんだよねー。でかい翼がある生き物だと邪魔になる場面もあるかもだし、やっぱ適材適所で使い分けとかかなあ。
みんなと同じ方向に目を向けて待つことしばし、少し遠くの上空を群れなし通過するのは、思ったとおりの鷲獅子の集団だった。どの個体も背中に人を乗せて、優雅に飛んでいるように見える。スルフェルに比べるとスピードがだいぶ遅めだけど、これは竜と鷲獅子の基本速度の違いは大前提として、騎士団の鷲獅子集団が敢えてゆっくりめに移動しているのもあるんじゃないかなー。ほら、整列行進パフォーマンスみたいな。
通り過ぎる一団は、距離があっても翼の立てる音がここまで聞こえてきそうなくらい数がいた。部隊って一個小隊とかじゃなくて数百人規模の部隊ですかこれ。あれだけ集まると壮観は壮観だけど、それ以上にちょっと怖さも感じる。だってあれ要するに人間なんか簡単にざしゅっとやれちゃうサイズの肉食獣の大集団ですよ。
……肉食だよね、鷲獅子。あの見た目で主に草を食べますなんてまさか言わないよね。頭も胴体も両方とも肉食生物の代表みたいな生き物だもんね。
「どっちの騎士団だあれ。ファンデルゼ? 連立王国?」
「混成?」
「混成にはせんだろー、ややこしくなるだけじゃんよ」
「あ、旗持ち来た」
視界を通り過ぎていくのは、長くたなびく旗を持つ人が騎乗する一騎。旗の色は青と白の半々。
青白二色の旗の後からもまだ鷲獅子の列は続き、やがて今度は濃紺の旗をたなびかせる一騎が現れた。
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