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愛されキャットはじめます in 異世界  作者:
 

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 基本的には、オーリ君は道を下っていく方向に進んでいるみたいだ。たまに現れる数段程度の階段をすべて下りている。昨日のわたしは坂や段をひたすら上がっていたので逆ですね。

 丘の上のほうにお城があって、街全体が丘の斜面に乗っかっていて、って感じになっているのかなあ。あと港があるはずなんだよね。普通に考えれば丘の麓に海、なーんて適当に脳内で想像図を展開してみる。好き勝手に想像するのもそれはそれで楽しいけど、ここはやはりちゃんとした地図が欲しいところ。オーリ君の部屋の本棚にこの街の地図とかあったりしませんか。一回漁ってみるべきかもしれない。

 どこか遠くから、ごーーーん、という低い鐘の音が聞こえてきた。昨日聞いた、伝令の竜騎士を乗せた緑竜スルフェルが降りてきたときの高めの音とは違う。音は一回だけで、鐘の音でリレーする気配もない。

 はて、これはなんの鐘の音?

 そんなわたしの疑問への回答は、見知らぬ誰かたちの会話という形で即座に与えられた。

「やっべ鐘鳴った! もう九時になっちまう」

「ほら、ぐずぐずちんたらしてるから」

「まだ五分あるだろ? 余裕だわ」

「どこが余裕だよ!?」

 前方、いま現在オーリ君が歩いている道と交わる別の道を進む一団が、やいやい言い合いながらほとんど小走りで通り過ぎていく。

 どうやらさっきの鐘は九時まであと五分ですよーの合図だったようです。じゃあ九時にもまた鐘が鳴らされるのかな。そして彼らはただいま遅刻の危機らしいです。

 そして、オーリ君は彼らの姿に反応して、一瞬走りだしかけたようだ。すぐに肩の上のわたしを思い出したらしく、やめたけど。代わりに声を上げた。

「ジルドナート!」

 一度は通り過ぎて建物の向こうに消えた中の一人が、引き返してきてひょこっと顔を出す。

「あれ、オーリ様じゃん」

 オーリ君より二、三ほど年上、十八、九歳くらいに見える青年だった。色褪せた枯れ草のような色の頭髪で、目は落ち着いた色味の緑をしている。

 オーリ君は早足でジルドナート青年のいる広い通りに出た。後ろにはジルドナート青年以外の姿もある。この人たち明らかにお急ぎだったっぽいのに、呼び止めちゃってよかったんだろうか。


※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。

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