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広場を取り囲むのは――といってもわたしたちが来た方向は制服の人が守る門楼と高い壁があるので、それ以外の三方になるけど、四、五階建ての建物。どれも一階は店舗になっているようだ。
広場の中央には丸い池。池の真ん中に成人の腰くらいの高さがある石の柱みたいなのが立っていて、その上部からは絶え間なく水が流れ出ている。なんというか、噴水ってほどには水に勢いがないけど、湧き水と呼ぶにはちょっと元気がありますって感じ。
池の周囲は荷車をそのまま屋台代わりにして野菜やらなんやらを売っている人たちとそのお客さんとで賑わっている。売り買いには関係なく広場を通り過ぎていく通行人の姿も多い。
総合すると、普通の広場だ。ヨーロッパ(っぽい異世界)の街中の広場と聞いてぱっと頭に思い浮かぶような、そういう広場。
わたしは首を捻って後ろを見る。さっき通り抜けた門の向こう、ただ広いだけのなにもない広場。さらにその先には楕円形の広場もある方向。
首を戻す。目の前に広がる光景。
後ろと前で落差がすごい。
……というか。
わたしはお城の前庭の雑木林を抜けて最初の門(の脇にあった通用口)を通った時点でもうお城の敷地からは出たものだと思ってたんだけど、ももしかして違ってたりしますか。実はこっちの壁のとこまでがお城で、ここから先が城外エリアです、だったりする? 少なくとも最初の門とこっちの門の間って、一般の人が出入りできる場所ではなさそうじゃない?
いやでも、ここまでが全部お城のうちって扱いだと、大きな門を解放してるの不用心ってならないだろうか。普通のお城とか宮殿とかの門が普段どうなってるのか知らないけど、たぶん必要時のみの開門で常時開いてるようなものじゃないよね? じゃあいまさっき通ってきたのはお城と街の間のワンクッションエリアみたいな? 壁の高さとか門の大きさとか周囲を固めている警備の人の数とか、こっちの門のほうがメインですって雰囲気もあるような気がするし、実際のところどうなの。
疑問を抱えるわたしを肩に乗せたまま、オーリ君は道行く人々に紛れて――いや、全然紛れ込めなかった。着ている衣装と肩乗りドラゴンの相乗効果なのだろう、しっかり人目を引いているし、歩いている人も一旦立ち止まってオーリ君に向かって深々と頭を下げるからさらに目立つ。
オーリ君本人は特に気にする様子もないのでどうもこれが平常らしいです。
うわー……。いちいちすれ違う人に頭下げられながら歩くの大変というか面倒くさそう。そんなこと考えるのはわたしが完全なる庶民思考だからだろうか。本人完全に慣れきってるっぽいんだよねえ。
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