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外に出た先は楕円形をした広場だった。楕円の外周半分がお城の敷地を囲む壁に面していている格好である。壁が弧を描いて曲がっているのは、楕円の周に律儀に沿っているからですね。なのでずっと向こうのほうの広場に接していない部分の壁は普通に直線のようだ。たぶん上空から見れば、長方形の一部だけが楕円の半分の形にくり抜かれてるって感じの土地なんじゃないだろうか。
前方左と同じく右には、鏡に映したかのようにそっくりな建物が見える。白茶色の石造りで、窓の位置から判断すると四階建て。こちらもお城の敷地を囲う壁と同じで、やはり広場の外周に沿って緩く曲がる長い扇形の建物である。わたしのいる位置から見えるところ、つまり広場に面している建物前面の両端近くと真ん中の計三ヶ所に出入り口らしきものがあるのもお揃いだ。これ完全に左右反転してるだけの二棟セット品でしょ。
お城の壁と前方左の建物の間、お城の壁と前方右の建物の間、どちらも道が伸びている。そして左右の建物の間にも道。お城のエントランスから門を通り抜けて楕円形の広場を突っきり、左右対称な建物の間の道を通るコースが綺麗な直線になるのだとおもう。真っ直ぐ伸びる二本の道が垂直に交わる上に楕円形の広場を被せました、って形だ。
まるっきりそっくりな二棟の建物の差異は二点。
一つは、どちらの建物でも中央部分、三ヶ所あるうち真ん中の出入り口の上に掲示された旗である。向かって左側の建物は半分青で残り半分が白い旗、向かって右側の建物は濃紺の旗だ。
二つ目の違いには、広場に出ても変わらず早足で進むオーリ君に運ばれ、建物との距離が近くなってから気がついた。各出入り口のそばで立ち番をしている人がいるんだけど、着用している制服が向かって左側の建物の人たちはダークグレー制服で、反対側の人たちはダークグリーングレー制服。建物を出入りする人も同様。お城の食堂や雑木林の落ち葉掃除では混ざり合ってた二種類の制服だけど、ここでははっきりわかれているようだ。
そしてやはりいない守備隊制服の人。
ふと思い出したんだけど、わたし最初は守備隊の本部か詰所か、そういう場所を探してたんじゃなかったっけ。正確には目的は守備隊じゃなくて、竜のスルフェルを近くで見てみたーいっていう願望だけど。
そういえばスルフェルじゃない竜は間近で見れてますね、現在進行形で。でもやっぱり大きな竜も見たいなー。リオニルの世話をしているオーリ君ってつまり、竜の誓約者と呼ばれる立場の人ってことだよね? じゃあお仲間になるわけだから、竜騎士のマルロー卿や緑竜スルフェルとも面識あったりする? オーリ君にくっついてたらリオニル以外の竜を見る機会ないかなー、あるといいなー。竜に乗りたーいとはさすがに言いません、見るだけでいいよ。
広場に面した建物の間を抜け、そっくりさんな二棟とはまた別の、道の両サイドに並ぶ用途不明の建物――窓が小さいので倉庫とか?――を眺めながら少し進めばまた広場に行き当たった。
まあ進んでるのはオーリ君であって、わたしはただただオーリ君の肩に乗っかる荷物してるだけですが。たまに思い出したかのように自力で飛ぶリオニルのほうはぎりぎり自分の意志で進んでいる判定でもオッケーかもしれません。
めぼしいものは特にない、石畳が敷かれているだけのシンプル四角形な第二の広場の向こうには、高い壁と門楼が見える。また壁、そして門。今度の壁はかなり高さがある。これなら登頂チャレンジする気にはちょっとなれない。
門の重そうな扉は開かれていた。門番を務める人たちに目礼し、オーリ君はさらに外へと足を進める。
門の外はまたまた広場でした。
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